2016年2月12日金曜日

デザートイーグル × 相手にわかってもらえない、傷つける言い方

どうして、うまく伝わらないんだろう?

人と話していて、そう感じることってありますよね。

今回は特に、「相手にこうして欲しいのに、全然やってもらえない」と感じてイライラしてしまったり、諦めてしまったりするときのお話です。

学校でケンカをして、相手にケガをさせてしまった子どもに「暴力はダメ」とわからせたいとき。
家族の誰かに「○○をしておいて」と頼んだけれども、全然それをしてくれなくてイライラしたとき。
会社の部下に仕事を頼んでも、全然やってくれなかったり、失敗ばかりのとき。

状況を良くしようとは思いつつ、単に相手を怒っても、相手の機嫌を損ねてしまい、むしろ悪い方向に進んでしまうこともよくあります。

かといって、怒らなければ全く状況は変わらないという(笑)

では言い方を変えて優しく言ってみたつもりだけど、それでも相手は全く変わらなかったり。

じゃあどうすればいいんだよ!! …と思わず投げ出したくなることもありますよね(笑)

いったい、どこが悪いのでしょうか?

今回はそれがわかる、週刊少年マガジン2016年11号掲載、『デザートイーグル』 第27話「COST」のシーンと併せて、改善しやすいポイントをご紹介したいと思います。



■ ホストに入れあげ借金1000万を抱えた娘への、母親の言葉。
(※ 以下に掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります) 

『デザートイーグル』の主人公、鷲尾 一期(わしお いちご、以降イチゴ)は現在、違法警備会社・雷音(ライオン)に入社・所属しています。

現在のイチゴの仕事は、杜若 美咲(かきつばた みさき)という、ホストに入れ上げ1000万もの借金をつくった女性を保護することでした。

様々なことがあり、暴力団に売り飛ばされそうになった美咲をイチゴが連れ出し、仲間の助力を得ながらなんとか逃げ切ったその後、二人はイチゴの「会ってほしい人がいるんだ!!」という美咲への勧めで、とある場所へと向かいます。

そこは、美咲の実家でした。

待つのは、美咲の母親であり、美咲が通った学校の理事長を務めている人物。

中へと入り、美咲の母親に事情を話すと、母親はこう言いました。

「かわいそうな美咲ちゃん…」
「汚れちゃったのね…人生」
その言い方に若干引くイチゴを他所に、母親の話は続きます。

「1000万の借金…、”維持費”のかかる子…」

「そもそも美咲ちゃんを外に出したのが私の間違いだったわ」
「傷みやすくて”維持費”のかかる美咲ちゃん」

「聞いて! ママ」 …と話を遮ろうとする美咲の声も聞かず、母親はさらに続けます。

「いいのよ! 美咲ちゃん。これからは私が”処理”してあげるから」


「友達もフィアンセも、周りのぜーんぶ、私が”完璧”に”用意”してあげる」
「ママ!」

「あら? 美咲ちゃんは何もしなくていいのよ。何も問題ないでしょう?」

そんな一連のやり取りを見たイチゴは、自分がクラスメイトに暴力を振るってため、母親に叱られたときのことを思い出します。

「イチゴ、ここに来なさい!」


「またクラスの子に暴力振るったの!?」
「暴力はダメ!! 何度言ったらわかるの!?」

「やめろよ!! いてーよカーチャン」
「カーチャンの悪口言われたから…」
イチゴが暴力を振るったのは、クラスメイトに母親の悪口を言われたことが原因でした。

それを知った母親は、イチゴを抱きしめながらこう言います。

「そっか…ありがとう、イチゴ。嬉しいよ」
「でもケガをさせたのは悪いこと。だから一緒に謝りに行こう? ねっ?」

そんな彼の回想の最中も、無言の娘への母親の言葉は続いていました。

「美咲ちゃん、友達も選びなさい」


「いーい? 私の立場を考えて?」
「美咲ちゃんはウチの学校の卒業生として模範でなければいけないの。我が校からは”完璧な製品”だけを生み出したい」

「美咲ちゃんは完璧な製品じゃなきゃいけないの!! アナタが”欠陥品”になっちゃいけないの!!」

「我が校の威厳の為に、私がちゃんと処理してあげる」


「私の言う通りにしてればいいの!」

『やめてママ、私はそんなんじゃ』
『もうやめてママ』
『私はここにいるよ…』
『こっちを見て』
そんな必死の思いを言葉にできない娘の姿にも気づかず、最後に母親はこんな風に言って、この話を締めようとします。

「部屋に戻りなさい、話は終わりよ」
「あなたの”あの”お友達には、私が伝えといてあげる。二度とアナタにちょっかい出さないように」

『帰って来なければよかった』
静かに、美咲の心は、また傷ついていくのでした。



■ 母親のことばで娘の心が傷ついた、『見逃しがち』な理由。

まあ、娘や他人を「モノ扱い」している段階ですでにダメなんだと思いますが(笑)

そこではない、わかりにくい部分にも大きな問題を含んでるので今回はそれに注目したいと思います。


まずは、「くよくよ悩んでいるあなたにおくる幸せのストーリー 重~い気分を軽くする認知行動療法の34のテクニック」(中島美鈴 著、星和書店)という本に載っている、『良いコミュニケーションか悪いコミュニケーションかがわかるチェックリスト』をご紹介したいと思います。
(以下、上記書籍より引用)


良いコミュニケーション
1. 相手の気持ちを理解し、相手の発言の中に何らかの真実を見つける。
2. 「私は~と感じる」という言い方で自分の気持ちを率直に打ち明ける。
3. 相手に対してイライラしたりめんどうくさかったりしても、相手を気遣い、尊重する。

悪いコミュニケーション
1. 相手の気持ちを理解せず、相手が言っていることは全部間違いだと決めつける。
2. 自己防衛的に言い争ったり、相手を攻撃したりする。
3. 相手をけなしたり、冷たく、競争的になったり、恩着せがましいやり方で対応する。
(以上、上記書籍より引用)


漫画のシーンで出てくる母親の言葉を見ると、ほとんど「悪いコミュニケーション」の方に入っているのがわかります。

「1000万の借金…維持費のかかる子…」
 とてもけなした言い方です。そもそも『モノ扱い』するというのも、自分が相手のことを、自分よりも下に見ていることを示すためのアピールだと思います。

「友達もフィアンセも、周りのぜーんぶ、私が完璧に用意してあげる」
「あら? 美咲ちゃんは何もしなくていいのよ。何も問題ないでしょう?」
 『結局、あなたはどうせ間違えるのだから』という考えがあるからこその提案です。
 そして、この言い方が『恩着せがましい』ものだというのは、言うまでもありません。

「いーい? 私の立場を考えて?」
「美咲ちゃんはウチの学校の卒業生として模範でなければいけないの。我が校からは”完璧な製品”だけを生み出したい」
 「理事長」という自分の立場や体面を守ろうとする言葉です。
 また、ここでは娘だけでなく卒業生も『モノ扱い』しているのが出てますね。


…と、例を挙げて読むだけで十分気分が悪くなりますよね(笑)

その気持ち悪さを考えると、これを言われた側がどれだけ気分が悪くなるのかは、十分想像できます。



では、どういう言い方をすれば良いのでしょうか?

漫画のシーンの、「イチゴと母親の会話」がとてもわかりやすいと思います。

「暴力はダメ!! 何度言ったらわかるの!?」 そう怒る母親に、イチゴは「カーチャンの悪口言われたから…」と理由を説明ます。
そして母親は、「そっか…ありがとうイチゴ」「嬉しいよ」と返すシーンです。

・相手(イチゴ)の気持ちを理解していること
・かばってくれたイチゴに対して自分の気持ちを率直に伝えていること

などが、この短いワンシーンだけでも十分に伝わってくると思います。


普通の生活の中でなら、

「そんなの理由にならないでしょ!! 暴力は絶対にダメ!! あんたが悪い!!」

と、怒ってしまっても多分あまり言及されたりしないシーンのようにも感じますが、もしそのように怒ったとしたら、怒られた側は最後まで話を聞いてくれるでしょうか?

漫画のシーンでは、納得できないような顔をしながらもイチゴは、母親の話をちゃんと聞きました。

「怒る」ことが目的ではなく、「相手にわかってもらう」ことを目的としているならば、『良いコミュニケーション』を実践する方が良いことがわかると思います。


またその他にも、コミュニケーションを良くする方法として、『「アイ・メッセージ」を使う』というのもあります。

「アイ・メッセージ」の「アイ」は、英語で『私は』という意味の、あの「I」です。

言葉の言い方を、「ユー・メッセージ」ではなく、「アイ・メッセージ」にするという方法です。


 アイ・メッセージとは、「コピーを取ってくれると、『私は』とっても助かるなあ」のように主語が「私」である口調のこと。その逆であるユー・メッセージ「『あなたは』コピーを取るべきだ」の対極にあります。ユー・メッセージが冷たく、断定的な印象を与えるのに対して、アイ・メッセージは温かい印象があり、なおかつ、相手に選択の余地を与えているため、相手は「自分の立場や状況が尊重されている」と感じるのです。お願いの仕方一つとっても、それが勇気くじきにもなれば、勇気づけにもなるのです。
(「アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉」(小倉広 著、ダイヤモンド社)より引用)


漫画の例でも、

「美咲ちゃんは、完璧な製品じゃなきゃいけないの!!」
「アナタが欠陥品になっちゃいけないの!!」
「(あなたは)私の言う通りにしてればいいの!」

など、畳みかけるように美咲を追い詰めるときの言葉に、このユー・メッセージが使われています。

特にこちらは、「誰を主語にしているか」で、今自分がどちらを使っているかの判断ができるので、実際の生活でも使いやすいんじゃないでしょうか。



ちなみに、こういった技術を使うときに邪魔になりやすいのが

「なんで俺が譲歩しないとダメなんだ! これは仕事なのに!!」
「なんで私が譲歩しないとダメなのよ! 子供は親の言うことを聞くのが普通でしょ!?」

という考え方だと思います。

個人的にはその気持ちもわからなくもない(笑)ので、「今回紹介した方法の方が良いよ!」なんて強制は、もちろんできないワケですが。

その裏にはやはり、自分も含めてまわりも全員、

「仕事はマジメにやるべき」
「部下は上司の指示に従うべき」
「子供は親の言うことをきくべき」

など、自分の中に「絶対にこうしないとダメ!」というルールや縛りみたいなものがあると思います。

そしてそのルールを、無意識で他の人や社会全体に適用しているわけです。

その考え方やルールが「正しいか正しくないかはともかく」として。

自分の目的が「相手にお願いをきいてもらうこと」だということを思い出して、それに集中すれば、こういう方法を取るのもアリだと思えると思います。


機会があれば、ぜひ試してみてくださいね!



記事を最後までお読み頂き、ありがとうございました!!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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