2016年2月25日木曜日

ACMA:GAME × 焦りやミスにつながる「マインドトーク」

思い込みで、失敗しちゃうことってありますよね?


たとえば、恋人に何度メールしても返信がないとき。

「何度もメールしてるんだから、見てないはずがない」
「絶対おかしい」
「彼(彼女)は何か嘘をついてるんじゃないのか?」
「そうだ、浮気しているから返信できないに違いない!」

と考えて、返事が返ってきたときにケンカをしてしまったり。

もちろん、ごく稀に、本当に浮気だったりすることもあるでしょうが(笑)
そうじゃなくても、この場合は間違いなく、ケンカは起こってしまうでしょう。


同じように、端から見ている人にとっては「絶対あり得ない」と思えるような勘違いや間違い、ミスをしている人をたまに見かけます。
自分自身でやってしまった経験がある方も多いでしょう。

その原因となる代表的なものが、「焦り」だと思います。

この「焦り」。
誰も「焦ろう」として焦っている人はいないにも関わらず、むしろ「うまくやろう!」と考えているうちに何故かミスをしてしまい、いつの間にか焦ってしまっていた自分に気づく…なんていうことも多いですよね!

なぜ、焦ってしまうのでしょうか?
焦りを呼び込むのは、いったい何なのでしょうか?

今回はその理由のひとつである『マインドトーク』についてと、週刊少年マガジン2016年13号掲載 『ACMA:GAME(アクマゲーム)』  第141話「”る”攻め」と第142話「!!?」のワンシーンを、併せてご紹介したいと思います。



■ 「絵しりとり」でのデッドヒート。勝敗はどちらに…!?
(※ 以下に掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります) 

現在『ACMA:GAME(アクマゲーム)』では、「しりとりドローイング」というゲームが行われています。

「しりとりドローイング」は、

・まずメインプレイヤーが”しりとり”の次の単語をコールする。
・コールした単語をボードに絵で表現する。
・巨大モニターに表示されたその絵を見て、味方のサブプレイヤー(3人)はメインプレイヤーがコールした単語を当てる。
・単語が当たれば、ターンが交代して、相手チームのターンになる。
・ターン中には、各ターンのチームの持ち時間が減っていく。
・持ち時間10分が先に切れたチームの負け。
・コール(お題)の変更や間違い、濁音などの省略、ボードに文字を書く…など、持ち時間のマイナスペナルティとなる行動がある。

というルールです。

メインプレイヤーはこの漫画の主人公である織田 照朝(おだ てるあさ)と、眞鍋 悠希(まなべ ゆうき)。先攻は悠希で、このゲームは始まりました。

先攻の有利を活かし、語尾が「る」で終わる単語で攻める「”る”攻め」を開始する悠希。
負けじと、照朝は「る」で始まり「る」で終わる単語で返していきますが、絵がうまく味方に伝わらない照朝は、一旦「”る”返し」を諦め、ルールによる細かなマイナスを相手に与える作戦へと切り替えていきます。

その状況で刻々とゲームと時間が進んでいく中、終盤から照朝の「”る”返し」が、改めて始まりました。

「ここに来て”『る』返し”…!! もしかして自信ある?」
優位に立っていた悠希の頭に浮かんだのは、そんな考えでした。
「”る” で始まり、”る”で終わる言葉…」
「私も まだストックはあるけれど…」
「みんなに伝えられるモノとなると…」

最後の賭けに出た照朝に対して、そう考えながらもまずは返していく悠希。

「眞鍋にも迷いと動揺を生じさせなければ、オレに勝ちはない!」
「そのためには、この”『る』攻め”を返し切ることが必須…!!」

返す悠希に、必死に食い下がる照朝。

その努力に、味方が応えます。

対抗して悠希も「”る”返し」を行いますが、

うまく伝わらなかったり、味方と知識がうまく被らない彼女の頭の中には、『迷い』が生じ始めていました。

「ダメか…!!」
「もうマニアックな言葉しか残ってない…!!」
「あといくつ試す!? 1分1秒を競うこの状況で…!!」

自分が考えたお題が味方に伝わらず、さらに焦る悠希は、ここでコール(お題)を変更します。
変更したコールは、とある都市の名前。

「もう待てない…!! 心臓がもたないよ…!!」
「”る”で返すのは諦めないと…」

苦しむ悠希でしたが、味方の毛利 明(もうり あきら)が回答してお題を当て、助けます。

しかしこの展開にも、すでに腹をくくっている照朝は恐れず着いてきます。
「もう…返さないで…!!」

そう思わず願ってしまう悠希をよそに、『自身すら顔を知らない人物』をコールして、臨む照朝。

これを味方の伊達 俊一郎(だて しゅんいちろう)がしっかりとカバーし、照朝チームはこの終盤で、「”る”返し」を3連続で成功させます。

「絵の上手さ」や「得意のしりとりがお題」など、さまざまな優位を感じていた自身の甘さを痛感する悠希。
「いや、後悔している時間はない…!!」 と、さらなる「”る”返し」を試みますが、

運の悪いことに、味方には思い当たる単語がありません。

「やっぱりダメ…!! これ以上は時間をかけられない…!!」
そう考えた悠希はすぐさまコール(お題)を変更。

そのコールにすぐさま、正解を出す味方でしたが…
それは、絵ではなく文字で表現されていました。

焦った悠希が犯した、大きなミス。

そのペナルティにより、悠希は照朝に逆転を許してしまうのでした。



■ 勝っていたはずの眞鍋悠季の「焦り」。…それはどこから?

状況がそこまで複雑ではなく、しかも『悠希の心の焦り』が読んでいる側にも伝わる、いいシーンだと思います。
読んでるだけでゲームに参加していない自分が、なぜか焦ってくるという。
自分は読み終わったあと、本当に手に汗をかいてました(笑)


先攻の有利を活かして攻めた悠希。
一旦後退したものの、状況を整えたのちに反撃に出た照朝。
その反撃に焦り、状況判断ができなくなっていく悠希。
そして彼女は、やってはいけない『大きなミス』をしてしまった。

今回はそんな悠希の、「それぞれの場面」の「とあるポイント」に注目していきます。


注目すべきポイント、それは「マインドトーク」です。


「マインドトーク」がもたらす影響について、「人生を変える 行動科学セルフマネジメント」(石田淳 著、大和出版)という本に、『「マインドトーク」のせいで重大な選択を間違える』として、以下のような例が紹介されています。
(以下、上記書籍より引用)


 ある中堅商社に勤める30代男性は、異動願いを出す時期に、希望の部署に移るチャンスをみすみす逃してしまいました。
 彼は入社したときから高い能力を発揮し、上層部からも注目される存在でした。だから、いろいろな部署のトップが、「ウチに来ないか」と彼に声をかけてくれました。しかし、彼の希望する北米部の部長だけはそうではありませんでした。エレベーターで一緒になっても、ランチタイムにばったり会っても、とくに何も言ってはくれません。
 そのうち、彼にはこんな思考回路ができあがってしまいました。
「オレ、北米部の部長に嫌われてるんじゃないかな」
「ほかの部長とは、明らかにオレに対する態度が違うし」
「そういえば、同期の上村も北米部に行きたがってたよな」
「きっと、オレの知らないところで、人事の話が動いているんだ」
「そうだ、北米部は上村が欲しいに決まっている」
 彼はそう結論づけ、よく声をかけてくれる東アジア担当部長がいる部署に異動願いを出しました。
 さて、本当に北米担当部長は彼のことを嫌っていたのでしょうか。実は違いました。
 北米担当部長は普段から口数が少なく、自分のほうから若い部下に声をかけることはほとんどありませんでした。そういう人だから部下に対しても公平で、彼に特別な態度で接することがなかっただけ。彼の優秀さはちゃんとわかっていました。だから、彼が東アジア担当部署を選んだことをちょっとがっかりしたようです。
 彼の行動には、紛れもない認知のゆがみが見られます。事実とは違うことを、まるで本当のことであるかのように思い込んでしまっています。
 このように私たちは、認知のゆがみによって重大な選択を間違えることがあるのです。

(中略)

 不安や猜疑心といったネガティブな感情は、すべて頭の中のマインドトークによって生産され、まったく非論理的にどんどん高じていきます。そのとき冷静な判断力は失われ、重要な選択を間違えてしまうことになります。
(以上、上記書籍より引用)


自分が自分に向けて語るような、「マインドトーク」。
これってつまり、普段自分が頭の中で考えていること…ですよね?

まさかそれが焦りやミスに繋がっている!…とは、意外に感じる方が多いと思います。

この「マインドトーク」に注目して、悠希の各シーンを見てみましょう。


・まず初めに、照朝が「”る”返し」を再開したきたシーン。彼女の頭の中は、

「ここに来て”『る』返し”…!! もしかして自信ある?」

でした。
ここではあくまで「相手は自信があるのかも…?」という疑問程度なので、影響はあまりない…と思いきや。上記書籍の例でも、この「もしかして」がスタートになっているのがわかります。
ここからすでに、「マインドトーク」は始まっているわけですね。


・次に、照朝の「”る”返し」再開後、悠希からの「”る”返し」2回目。科学系のお題に対して味方からの答えがないシーンで、悠希は、

「ダメか…!!」
「もうマニアックな言葉しか残ってない…!!」
「あといくつ試す!? 1分1秒を競うこの状況で…!!」

と考え、お題を変えた後でも

「もう待てない…!! 心臓がもたないよ…!!」
「”る”で返すのは諦めないと…」

と、考えていました。セリフ口調なのでいろいろ言葉足らずな部分はありますが、

・マニアックな言葉しか残っていないのは、相手も一緒
・1分1秒を競ってはいるが、条件は相手も一緒で、しかもまだ自分がリードしている場面
・”る”で返すのを諦める理由が、ゲームの状況ではなく自分が逃げるためになっている

などなど、傍観している側から見れば「何を焦る必要があるんだ」と感じてしまう部分が多くある状況で、かなり悠希が焦っているのがわかります。

上記書籍の例と同じく、妄想に近いような、「マインドトーク」が進んだ状況です。

しかし、悠希の立場で考えてみると、そう感じても仕方ないと、「実際悠希の立場で同じように考えれば、おそらく自分でも焦るだろうな」と、共感できますよね。


・そしてその次、悠希のミスが出る直前のシーン。とある地名をお題として選び「お願い!!」と味方に頼る悠希ですが、不運にも知っている人間がいない状況で、

「やっぱりダメ…!! これ以上は時間をかけられない…!!」

と、自分で勝手に結論を出してしまい、その結果ミスに繋がりました。ここも、ひとつ前と同じく「『”る”返し』を続ける重要性」「リードを守り続ける重要性」は変わらない状況なのに加え、

・味方頼りは相手も変わらない
・作戦を変更するなら、どういう言葉選びが必要か
・それがルールに抵触しないか

など、いろいろ検証するべきことがあったにも関わらず、最悪の選択肢を選ぶことに繋がってしまいました。しかも、そんなことは頭に浮かびもしないわけです。


というわけで、「味方の知識と悠希の知識が被っていなかった」という不運はあったものの、

悠希の「マインドトーク」が勝手に進んでいくことで、それが妄想を呼び、彼女を焦らせた

というのは、理解して頂けたと思います。


しかし、これを見たからって悠希を責める気にはなれないと思います。
なぜなら、恐らく誰でも失敗はあり得るからです。

部活での試合でも仕事でも、悠希と同じような、大きな失敗をしたことがある人の方がいると思います。
むしろ、大きなミスを経験をした人の方が多いんじゃないかと(笑)

でもだからこそ、その失敗を次に活かすことが大切なんだと思います。
そしてこの知識は、その失敗を活かすにはもってこいのはずです。

この『ACMA:GAME』でも、今後の展開次第では、改めて悠希が照朝の仲間になったりして、そのときにこの失敗が活きてくる…なんていうのも、十分あり得ますし!


極端な結論を自分で出していることにたまたま気づけたときはもちろん。
自分の思い込みで大きなミスをしちゃった! っていうときにも。

良ければぜひ、このシーンと知識を、思い出してみてくださいね!



(追記)
ちなみにこの記事の一番最初に出した、恋人がメールを返してくれなくて誤解してしまう例も(少し話の流れが違いますが)ご紹介した「人生を変える行動科学セルフマネジメント」に例として出てきます。
気になった方は読んでみてくださいね!



記事を最後までお読み頂き、ありがとうございました!!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

新品価格
¥1,512から
(2016/2/25 19:42時点)

新品価格
¥463から
(2016/2/25 19:43時点)


SNS