2015年12月18日金曜日

火ノ丸相撲 × 「許す」ことのススメ

今回は週刊少年ジャンプ2016年2号掲載、火ノ丸相撲 第77番「知ってほしいこと」のワンシーンと、過去の過ちを許すことについてご紹介したいと思います。


誰かにされたイヤなこと、まだ根に持っていませんか?

嫌がらせやイジメなど、「イヤだ」と感じることをされた経験は、誰にでもあると思います。

その場限りの相手ならその時だけ我慢すればいい場合もありますが、長く続く人間関係の中で受けた嫌がらせの中には、未だにそれを許すことなく、嫌な思い出として残ってるものもあるはず。

そんな思い出は、思い出すたびにイライラしてしまいますよね?


そんな苛立ちすら覚える思い出。この「火ノ丸相撲」の第77番のワンシーンを読むと、

「許してしまうのもいいかもしれない」

と思えるかもしれません。


今回はそのシーンと併せて、いろんな本で「許す」ことが薦められていることをご紹介したいと思います。



「火ノ丸相撲 第77番」では、一つの大きな大会が終わり、結果は残せたものの各部員のそれぞれの弱点が浮き彫りとなったため、その対策を立てましょう…というところから、話が始まります。

結論としては、今まで行ってきた特訓に加え、「ペア特訓」という、2人1組にしてお互いの弱点を意識し、コミュニケーションを取りつつお互いに助言し合うことで対策を取れるようにしよう、ということになりました。

その結果、部員のひとりである五條 佑真(ごじょう ゆうま)は、部長である小関 信也(おぜき しんや)と組むことになったのですが。

佑真は最近、様子がおかしいのです。


佑真は普段の稽古と、元々やっていた空手のノウハウを生かした相撲で、今どんどん強くなっている状況です。

にも関わらず、本来の実力差とはかけ離れ、差が詰まっていっているはずの小関との対戦成績が、どんどん悪くなっていくのです。

その原因は、佑真と小関の過去にありました。


佑真は昔、相撲道場は部員には手を出さないという条件付きではあるものの、佑真とその仲間の不良達で部室を占拠し、道場を2年間奪った経緯があったのです。

自分なりにそのことに対してはケジメをつけたと思ったものの、その2年間をずっと後悔し続けている佑真は、最近ではまともに小関の顔を見ることさえ、できない状況にまでなっていました。

そんな状況の中、小関とペアを組まされ、練習に集中できない佑真。

小関から調子の悪さを指摘されても、イライラが募るばかり。

なんとかコミュニケーションを取ろうとする部長に対して思わず大声を出してしまったことを発端に、

ついに佑真は、心の内の罪悪感を小関に吐き出すのでした。

「お前と…お前の相撲部にしてきた事は今はもう一時たりとも忘れはしねぇ」
「掃除して頭下げて…あの時はそれでけじめをつけたつもりだった。 でも違った」
「相撲の楽しさを知って初めて俺は…お前から奪ったものの大きさを知ったんだ」

「十分知ってんだよ、俺は本来ならここにいちゃいけねぇ人間だって…俺に相撲を楽しむ資格はねぇって…」
「でもせめて、結果でお前に何かを返せたらと思ってる…」
「だから…このペアだけは勘弁してくれ…お互いの為に…他の事なら何だってする!」
「一昨日のIH(インターハイ)予選個人戦だって…お前と当たったらどうしようかとずっとびびってたんだ…!」

「頼む…! 俺にはもう… お前は殴れねぇ…!」

そう言って本気で部長にぶつかることで、また傷つけてしまうことを恐れていた自分を打ち明ける佑真。


それに対する部長の返答は、こうでした。

「重っ! そんな事考えてたんですか? 真面目だなぁ…」

むしろその軽さに対して驚く佑真に、部長はこう続けます。

「俺の中では、ユーマさんが頭を下げて入部してきた時点で、この話は終わってるんですよ」
「そりゃ最初は戸惑いもありましたよ。この人と上手くやっていけるのかなぁ、って…」

「でもそんな不安はすぐに吹き飛んだ。だってユーマさん、凄い楽しそうに相撲取ってたから」
「あの相撲をバカにしてたユーマさんがどんどん相撲にハマっていくのを見てると、何だかちょっと可笑しくて」
「ああ…なんだ、この人も俺と同じただの高校生なんだなって…」

「地味な稽古にも熱心に取り組んでて、思ったよりマメな人なんだなぁって発見もあったし」

「そう考えると俺もユーマさんの事、よく知らなかったんだなぁって…」
「確かにあの頃は色々ひどい目に遭わされてきたけど…」
「あんな事でもなければ俺達話す事もなかっただろうし、ユーマさんもここには居なかった」

「ひとつでも違ったらきっと今のこの相撲部はない。そう思えば、まぁ結果オーライなんじゃないですかね」

そう話しながらハハハと笑う部長は、とっくに佑真のことを許していたのでした。

そんな佑真を許す優しさを持った小関は、こう続けます。

「最近、元気ないのは俺も気になってたんですよ」
「申し訳ないからとか…そんな気持ちで土俵に上がってほしくなんかないです」

「もっと最初の頃みたいに、楽しそうに相撲取ってくださいよ」
「俺がユーマさんに望むのはそれだけ…」

「これが、俺の知ってほしい全部です」



小関の優しさに甘えることのない、真面目過ぎる佑真。

全国大会に出場する前に、お互いと、「自分は相撲を楽しんでいいんだ」ということを、佑真は知りました。



…部長の優しさがわかる、良いエピソードだと思います。

またそれと共に、「許す」ということが素晴らしいことだというのもわかるエピソードだと思います。


ちなみに自分は昔に受けた、

「あなたの一生に絶対に邪魔になるとわかっている人がいるとしたら、その人を殺しますか?」

というアンケートで、迷うことなく「はい」にマルを付けた過去があるのですが(笑)

この話を読むと、「絶対に許さない!!」という感情を持ち続けることに関して、考えさせられるように思いました。


「許す」ことを勧める本は、たくさんあります。

例えば、「次の2つから生きたい人生を選びなさい ハーバードの人生を変える授業Ⅱ」(タル・ベン・シャハー 著、成瀬まゆみ 訳、大和書房」という本では、

・わだかまりを残す
・許す

という選択肢について、書かれています。
(以下、上記書籍より引用)


「完璧な人はいない」とよく言われます。
 これについて私たちは「そのとおり」と思いながらも、自分や他人が完璧でないことを責めつづけてしまうものです。
 たしかに人はどんなことでも許せるとは思いませんし、また許すべきとも思いません。
 しかし、私たちは自分に対して、そして他人に対して抱えているわだかまりを手放すことを選べます。
「許す」という言葉はサンスクリット語では「ほどく」と同じ意味です。
 私たちは許すときに感情の結び目をほどき、感情システムをうまく機能させるようにしています。
 感情の自由な流れを解き放つことで、怒りや落胆、さらには痛みや思いやり、喜びも感じることができるのです。
 わだかまりを抱えていることは、結んだひもを引っぱりつづけているのと同じで、結び目はどんどん固くなります。
 わだかまりを手放すことはひもをつかんでいた手を緩めることで、結び目がほどきやすくなるのです。
(以上、上記書籍より引用)


許すことで自分の感情が豊かで正常なものになる、という考え方は、あまり無かった感覚ですが、でも「なるほど」と思えるものではないでしょうか?

完璧な人間はいない、つまり相手も自分と同じだ、という感覚は、漫画の中でも小関が佑真に対して「相手も同じ高校生なんだ」と感じたものと、似た感覚なようにも感じます。



また別の書籍では、「一流の人に学ぶ自分の磨き方」(スティーブ・シーボルト 著、弓場 隆 訳、かんき出版)という本で、こういう部分があります。
(以下、上記書籍より引用)


 自分を傷つけた人を許す習慣は、一流の人と二流の人の大きな違いの1つである。
 二流の人は復讐を企て、一流の人は敵を許して前進を続ける。
 二流の人は憎しみで凝り固まり、一流の人は愛にあふれている。
 心が愛にあふれていれば、許すことは簡単にできる。自分を傷つけた人を許すことは、心の平和につながる自分への最高の贈り物である。

 弱いものは他人を許すことができない。許すことは強い者の証しである。
                               マハトマ・ガンジー(インドの指導者)
(以上、上記書籍より引用)


相手に許したことを伝える必要は必ずしもない、という言葉を添えつつも、

「許すことは自分への最高の贈り物」

であると、自分のために相手を許すことが薦められています。


また、「大切なことに気づかせてくれる33の物語と90の名言」(西沢泰生 著、かんき出版)という本の中でも、「許すことって気持ちの良いことだなあ」とわかるエピソードとともに、

「許すことで、自分が自由になれる」

ということが紹介されています。



実際にあった話も1つだけ、紹介したいと思います。

「NBA」というアメリカのバスケットボールリーグにて、昨年度のプレイオフ(シーズン後のトーナメント)でケビン・ラブという選手がケガをしました。

ケガは左肩脱臼という、その年度にあった後の試合を全て休むことになるような、大きなものでした。

このラブという選手、実力はあったもののキャリアの中でプレイオフに出たことはなく、今回が初出場です。

しかもその年はチームを移籍し、「クリーブランド・キャバリアーズ」という、十分に優勝を狙えるチームに所属していました。
(実際このチームは、このときNBAでベストと評価されていたレブロン・ジェームスを中心に、ラブを含むエース級を2人欠きながらもファイナルまで駒を進めました)

にも関わらず、相手のラフプレー(関節技を決められたような形になった)が原因で、退場。試合も全休でベンチからしか応援できない状況に追いやられます。

「さあこれから!」「実力を発揮すれば十分に結果を残せる!」

…という時に邪魔をさせられたなら、普通は怒りますよね?

実際ラブも、試合後のインタビューなどでは、「必要のないラフプレーだった」「プロらしくない」「わざとやったに違いない」「どう考えてもバスケットボールのプレーじゃない」などと発言しているのですが。

その数日後には、ラブ自身からケガをさせた相手に対してメールを送っている上、インタビューでは「僕らは前に向いて進まないと」と言っていて、「許さない」という感情の発言はなかったようです。



「許さない」という感情は、実は自分を縛ってしまうもの。

「許す」ということは、実は自分のためにもなる、ということ。

良ければぜひ、覚えてみてくださいね!



記事を最後までお読み頂き、ありがとうございました!!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

新品価格
¥1,728から
(2015/12/18 20:36時点)

新品価格
¥1,620から
(2015/12/18 20:37時点)

新品価格
¥432から
(2015/12/18 20:37時点)


SNS