2015年6月30日火曜日

ハリガネサービス × 勝負に勝つには、「ルールを変える」こと

今回は週刊少年チャンピオン2015年30号掲載、ハリガネサービス 第53話「必勝おじさん」のワンシーンから、ルールは自分に都合よく変えれば勝ちやすくなることをご紹介します。


ハリガネサービス 第53話は、主人公たちが現在対戦している相手チーム、竜泉学園バレー部がどのようにして結成されたのか、というお話の始まり部分になっています。

ある時期、竜泉学園にて「必勝おじさん」という奇妙な噂が流れていました。その内容は、

「部活で居残っている生徒の前におじさんが現れ、その生徒の得意な種目で勝負をふっかけてくるにも関わらず、生徒はそのおじさんには絶対に勝つことができない」

という噂です。

単なる噂だろうと気にもとめていなかった、とある野球少年(現竜泉学園バレー部員)の元に、

本当に「必勝おじさん」が現れてしまうというのが、この回のお話です。

相手(少年)が野球部ということで、おじさんが提案した勝負は、

「おじさんが3球投げるうち、1球でも打てたら野球部員の勝ち、打てなかったらおじさんの勝ち」というものでした。

勝負なんてしない、という少年に対し、

「なんだ、自信ないのかな少年?」「おじさん野球シロートだぜぇ?」と挑発するおじさん。

それにカチンときて、少年とおじさんの対決が始まるのでした。

1球目。おじさんの投げた球は、なんと少年の頭へ行きます。間一髪で、少年はなんとか避けました。

2球目、少年の体へ。これも同じく、なんとか少年は球を避けます。

自分を狙っているかのような球が2回続いた、その後の3球目。

「目的は勝負なのではなく、自分にボールを当てることなんじゃないのか?」と考えている少年の元へきたボールは、ストライクゾーンに入るコースでした。

慌ててバットを振ろうとしますが、球にはシュート回転がかかっており、それに反応できなかった少年は、空振りしてしまいます。

こうして3球勝負は、おじさんの勝ちで終わりました。

「なんで負けたかわかるか?」と問うおじさんに対して、

「またデッドボール投げられるかと思って、気持ちがひけてしまっていたから…」

と答える少年でしたが、おじさんは間違いだと宣告します。

おじさんが答えた正解。

それは、「1打席じゃなく、3球で打たないとお前の負けなんだぞ? なら俺ストライク投げなくても勝ちじゃん」というものでした。

インチキだと罵る少年に、インチキだと認めたうえで、おじさんはこう言います。

「この程度のペテン見抜けねぇから、負けるんだよ」
「そんなバカ正直じゃ、部内の競争にすら勝てねえぞ」

そう言われて落ち込む少年に、おじさんはこう声をかけます。

「絶対に勝つ方法を知りたいか?」
「それさえ知っていれば、卒業して社会に出たって勝ち続けられる」

それを教えてもらうことを条件に、野球少年は、自分と同じく「必勝おじさん」に勝負で負けた他の少年たちと共に、バレー部へと0引き込まれるのでした。



※※※

このブログで「絶対に勝つ方法」を教えることはできません(笑)

ここまで振っておいて何を言ってるのか、とツッコミが来そうですが、勝負に勝つためのひとつのポイントと言われているものを、今回はご紹介したいと思います。

それが、「ルールを自分の都合の良いものに変える」ことです。


漫画の引用部分で注目したポイントは、必勝おじさんが提案した

「おじさんが3球投げるうち、1球でも打てたら野球部員の勝ち、打てなかったらおじさんの勝ち」

いうルールです。


これ、絶妙に「野球のようで、野球でないもの」に変わっているのがわかりますでしょうか?


ご存知な方も多いと思いますが、(今回の話に関わる部分で)基本的な野球のルールは、

・バットを空振りしたら「ストライク」
・ストライクゾーンにきたボールを打者が見逃した場合でも「ストライク」
・ストライクが3個溜まったら、「アウト(=その打者は一旦終わり)」

というものです。
(ツッコミたい部分もあるかもしれませんがw 可能な限り単純に説明したいので、ご容赦下さい)

しかし、おじさんが提案したルールでは、

・ストライクを投げないとダメだとは言っていない
・3球であって、1打席ではない

など、おじさんが有利にいくらでも行動できる様に、絶妙に野球からルールを逸らしているのです。

野球部員にとっては、

・「3球」といえば、それは3球ともストライクに投げるということだろう

など、普段のルールが常識として意識に入り込んでいるため、「まさか!」と思うことの連続で、思わず「インチキ!」と叫んでしまったに違いありません。

しかし少年は、それ以上反論することはできませんでした。

なぜなら、それは全て「ルール」だからです。


こうして、自分に都合よくルールを変えたおじさんが勝ったわけですが。

「勝負に勝つためにはルールを自分に都合よく変える」という考え方が、実は「ゲーム理論」の中に出てくるのです。

…というのが、今回の記事のテーマです。

今回は「MBAで学ぶ、負けない戦略志向 ゲーム理論入門」(若菜 力人 著、フォレスト出版)から、その考え方の一部を、ご紹介したいと思います。


この本の中では、「なぜ口ベタな理系オトコは淘汰されず子孫を残せるのか?」という話から始まります。

書かれているポイントだけを簡単に紹介すると、


「文系オトコは女性を口説くテクニックを持っているが、理系オトコにはそれがない。」

→ つまり、理系オトコは子孫を残しにくい。

→ にも関わらず、理系オトコは淘汰されることなくこの世界に現存しているのはなぜ?

→ それは、理系オトコが女性に選ばれやすくなるような、頭脳で勝負できる環境があったからだ。

…という流れです。


つまり、勝つには勝つための環境が必要、ということです。

環境というのは、ゲームや社会の中で言い換えるなら「ルール」であることが多いと思います。

さまざまな場を支配しているのは、常識となっている、守るべき「ルール」ですよね。

「勝ちたいならそのルールを変えてしまおうよ!」

というのが、今回のお話です。ちなみに上で紹介した本では、


「ゲームの構造が自分に不利な場合(どうやっても相手に勝てないようなとき)は、ゲームの構造自体を変えることを考えよ」


というのが、大事な教訓として紹介されています。

実際、ルールが変わったことで勝敗に影響が出たという話は、どこにでもあると思います。

同書では、「1998年の長野オリンピックでメダルを独占した日本チームが、2002年のソルトレイクシティでは全く振るわなかった」ことが例に挙げられています。

簡単に説明すると、スキー板の長さの制限が「実測値」から「比率」に変わってしまい、そのため日本人と海外の大きな選手の板の差がさらに大きくなってしまったためだそうです。
(同書ではその他、「太平洋戦争の緒戦でめざましい戦果を挙げたゼロ戦が敗れた」という話も併せて紹介しています。)

少し前の日本野球界でも、ボール自体が変わっていたことが、大きな問題になったこともありました。

ルールを変えることは、意外と頻繁に行われているのです。


しかし日本人は特に、この「ルールを変える」ということには、抵抗があるようです。

「ルールは守るべきもの」という考え方はとても大切だと思いますし、そのおかげでさまざまなことが円滑に運び、とても効率的になることだってたくさんあります。

しかし、実際の社会で、自分の都合の良いようにルールを変えようとしている人たちがたくさんいることも事実です。

そう考えると、この漫画の野球少年のように「インチキだ!」と叫ぶようなことが無いよう、「相手がルールを変えようとしていないかどうか」「気が付かないうちにルールが変わっていないかどうか」には、自衛手段として、気を配る必要があると言えます。

あとは、どうしても自分が勝たなければならない状況のときには、この考え方はとても役に立ってくれると思います。


機会があれば、ぜひ試してみてくださいね!



記事を最後までお読み頂き、ありがとうございました!!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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