2014年12月4日木曜日

ワールドトリガー × 伝え方で相手の考えを変える方法!

人は1日に、びっくりするくらいの数の判断を行っています。

一説では、その数は数万にもなるとか。

実はその判断を、伝え方である程度簡単に変えさせることができるという事実をご存知ですか?

今回はその「判断を変えさせる伝え方」のポイントについて、週刊少年ジャンプ2015年1号掲載のワールドトリガー 第85話「三雲 修(11)」のワンシーンを例に、ご紹介したいと思います。


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「ワールドトリガー」の舞台は、28万人が住む三門市というところです。

4年半前、三門市は近界民という異世界から大規模侵攻を受け、その際に1200人以上の死者、400人以上の行方不明者を出しています。

そして1週間と少し前、三門市への2回目の大規模侵攻がありました。

しかし1回目の侵攻後に設立された機関「ボーダー」の活躍により、今回の大規模侵攻では1回目の侵攻で来た8倍の勢力に対し、民間人の死者は0人、ボーダー所属の訓練生32人が行方不明、殉職は6人という、被害を大きく抑えることに成功します。

しかし、被害者は0ではありません。そのため、その責任を誰がどう取るか? という話で記者会見が開かれており、主要登場人物のひとり、三雲 修(みくも おさむ)にその矛先が向けられたところから、今回の話は始まります。


記者からの「責任は修にあるのでは?」という疑いに対し、修はその可能性を認めました。

淡々とそのときの行動について説明する修に「反省の色がない」と感じた記者たちは、今回の侵攻で32人が犠牲になったこと、どんな言い訳も通用しないこと、遺族の気持ちを考えるべきことなど、修を責め立てます。

そしてさまざまな責め文句は、「どう責任を取るのか」に集約していきました。

そんな記者たちの問いに、修はこう答えました。

「取り返します」

「近界民に攫われた皆さんの家族も、友人も、取り返しにいきます」

「『責任』とか言われるまでもない。当たり前のことです」

近界民(異世界)へと攻勢をかける、と伝えたのでした。

またその発言に合わせボーダー責任者から、連れ去られた人間の奪還計画を進めており、すでに無人機での渡航・往還試験は成功していること(全て機密事項)が、ここで初めて記者たちへと伝えられました。

それを聞いた記者たちは、騒然とします。

近界民への侵攻。今までにないその行動に、「もしかしたら、それは新たな犠牲者、しかも大量の犠牲者を出してしまうことに繋がるのでは?」という、新たなリスクを記者たちが感じたためでした。

そんなリスクを感じ慎重になる記者たちに対して、ボーダー本部司令・最高司令官である城戸はこう言いました。

「…そうか、きみたちはこの場合、将来を見越して『たかが32人は見捨てるべき』という意見だったな」

言葉を無くす記者たち。

先ほど自分たちが言っていたことと、新事実発表を聞いた自分たちの行動。

その2つが矛盾していることを突かれ、彼らは黙り込むしかなかったのでした。


※※※

● 記者たちの矛盾点はどこ?

状況が少しわかりにくいと思うので、簡単に整理したいと思います。

注目したいポイントは、「記者の意見が途中で180度変わった」こと。

修が原因の可能性がある侵攻で、32人もの尊い人達の人生が犠牲となった = 「32人は救われるべき、絶対な価値のある存在」

その32人を救うための新たな作戦に対して、新たなリスクを考えるとその作戦はするべきなのか?という疑問を持った = 「32人は現状の平和と天秤にかけられる、相対的な価値でしかない存在」

この2つの考え方は相反するものなのに、記者たちは話の中で自ら意見を変え、その矛盾を抱えてしまった。

それを突かれたために反論できなくなってしまった、という流れです。


ではなぜ、こんな変化が起こってしまったのでしょうか?

それは、「メリットとデメリットの伝え方」が要因になっています。


● 原因は「メリットデメリット」!

ここで、心理学的にわかっている事実のひとつを、ご紹介します。

実は、人は最初に明確なメリットを示されると、ギャンブル的な選択肢を選びにくくなる、という傾向がある。

また逆に、人は最初に明確なデメリットを示されると、ギャンブル的な選択肢を選びやすくなる、という傾向もある。

これもイマイチわかりにくい(笑)ので、例で確かめてみましょう!


例えば、600人が命の危機に晒されているという状況で、

「Aという方法をとれば、200人の命が確実に助かります。Bという方法を取れば1/3の確率で全員が助かりますが、2/3の確率で600人全員が助かりません。」

と言われると、大体の人がAの方法を取ります。


しかし同じ600人が命の危機に晒されているという状況でも、

「Aという方法をとれば400人の命が確実に犠牲になります。Bという方法では1/3の確率で誰も死にませんが、2/3の確率で600人全員が死んでしまいます。」

と言われると、大体の人がBの方法を取ります。


多分、「自分も同じ方を選んだ!」という方が多いのではないでしょうか。

しかし見比べて頂ければわかりますが、初めの方法も2番目の方法も、実は全く同じことを言っているのです。

でも、選ばれる選択肢は変わってしまいました。

これが、メリットデメリットの伝え方が持たせるイメージによる影響力です。
(参考書籍 「他人のこころをつかむ心理テクニック」 ゆうきゆう著 PHP研究所)


漫画の例を、上記の例と同じ表現にしてみましょう。

提示されたのは、32人の犠牲者についてでしたね!

「Aという方法(現状維持)なら、現存の28万の命から被害が出ることは今のところありません。しかしBという方法(近界民への遠征)なら32人も救い出せるかも知れませんが、もっと被害者が増える可能性もあります」

遠征した人間が全滅したり、遠征中や後にこちらも新たな侵攻を受けて1回目の侵攻と同じような被害が出る可能性まで想像すると、リスクのある「遠征」という方法は、さらに選ばれにくくなるわけです。

実際、手のひらを返したように、記者たちの考えは「リスク回避」の方へと向いてしました。

32人の命が本当に絶対的な価値があるものと考えていれば、助けにいけるのであればリスクがあっても賛成のはずですよね?


重要なポイントは、

メリットデメリットと併せて選択肢が提示されたとき、人は「自分の考え」とは別のところで選択肢を選んでしまいがちだ!

と、いうことです。

そんなときには、自分に本当に大切なものは何なのかに改めて集中することで、自分にとって正しい選択をしやすくなると思います。

間違った選択をして後悔しないためにも、ぜひ覚えてみてくださいね!



記事を最後までお読み頂き、ありがとうございました!!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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