2014年10月9日木曜日

DAYS 74th day「美しく舞う」 (「精度」は努力の量に比例する!? 大切な「反復練習」には、意外と知らない大きなメリットがあるんです!)

今回は週刊少年マガジン2014年45号掲載、DAYS 74th day「美しく舞う」を例に、反復練習がもたらす効果と大きなメリットについてご紹介したいと思います。


努力しないと、上手くならない。

何をやるにしてもこの事実は、皆さんの頭の中にも常識として、あると思います。

その努力の最たる例として挙がるものが、おそらく「反復練習」でしょう。


「反復練習」と聞くと、それだけで面白くなさそうな、嫌なイメージを持ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかしやはりこれが大切なのは、変わらない事実のようです。

今回はそんな、大切な反復練習を途中で止めてしまうことがなくなるような、知っておくとモチベーションがあがるようなメリットや起こる変化のことなどを中心に、その重要性をご紹介したいと思います。


(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)

まずは、DAYS 74th day「美しく舞う」の各シーンとあらすじのご紹介から。


現在「DAYS」では、全国高校サッカー選手権東京都予選の準決勝、聖蹟高校と京王高校の試合が行われています。

主な登場人物である柄本つくし(つかもと つくし)、風間陣(かざま じん)が所属する聖蹟は、ケガなどにより主力のスタメン3人を欠き、さらに試合中の退場処分により、相手チームより1人少ない10人で試合を戦っているという、苦しい状況でした。


そんな苦しい状況の中でもなんとか聖蹟はリードを保っていましたが、試合の終盤に、京王のシュートで同点に追いつかれてしまいます。

苦しい状況をカバーすべく必死に動き回ってきた聖蹟には、延長戦を戦い抜く体力が残っていません。

そんな状況での同点弾で聖蹟メンバーは一瞬絶望しかけたものの、柄本のかけ声で集中力を取り戻し、わずかに残った時間で、なんとかあと1点を取ろうとします。

そして、試合終了間際の柄本のプレイにより、フリーキックという、千載一遇の勝ち越しのチャンスを得ます。


このプレイで得点できれば勝てる、最後で最大のチャンス。

そのフリーキックを蹴るのは、この試合2回のフリーキックを直接ゴールに決めている、君下敦(きみした あつし)です。

3本目の直接ゴールによるハットトリックをまわりは期待する中、角度がなさすぎるため、誰かの動きに合わせてゴールを取ろうと、君下は現実的な提案を一時は味方に出すのですが。

それぞれの思惑や判断が交差しているところで、守る側の京王高校の甲斐は、「君下が直接狙ってくる」ことを感じ取ります。

「なんでわかるんだ?」自問する甲斐。

その自問の結果、甲斐はふと過去のことに思い当たります。

昔、当時の監督から「君はもう来なくていいよ」と戦力外通告を受け、甲斐が試合後に放心状態となっていたとき、

「ボーっとしてんなら、お前もこっちに立て!!」と、君下に声をかけられたときのことを思い出していました。

急に声をかけられ何のことか理解できていない甲斐に、君下はフリーキックの壁に立て、と言っているのでした。

「い…いいけど、練習するの? 試合終わったばかりなのに」という甲斐に対して、君下は

「練習なんて疲れてる時にやらねーと試合で役にたたねーだろ」と言い返します。

そうして、わざわざ疲れているときにフリーキックの練習をひたすらやる君下のことを思い出した甲斐。

「あれが才能だって?」 そうも自問する甲斐には、思い当たる節はありました。

雨の日も雪の日も練習したリフティング。

その数だけは、自分を裏切らなかったこと。それを思い出し、

「キックの精度だけは、努力の量に比例するのだ」ということに思い至ったことが、彼が直接ゴールを狙ってくると感じた正体だと気付きます。


そして柄本の目立つ動きに全体が引っ張られたことがひとつの要因となり、

君下が蹴り、高く上がったボールは、

キーパーに触られることなく、

味方も見とれるほどの軌道を描いて、

ゴールへと吸い込まれるのでした。



ここから、今回のブログのテーマに入ります。

今回注目したのは、主人公チーム(聖蹟)の対戦相手、甲斐が思い出した「キックの精度だけは、努力の量に比例する」という部分です。


ただの事実としては、「そうですね」以上説明することは無いんですが(笑)

しかし努力というのは、「そうわかっててもなかなか努力なんてできねーよ!」とか、「反復練習したから必ず上手くなるってもんでもないでしょ!」と思ってしまい(もしくは実際にそうなってしまい)、楽しく感じられず辞めていく人がいることも事実だと思います。

今回はそんなときのために、

・反復練習をすることで、どんなことが起きているの?
・どういうところを注意して反復練習をすれば上手くなりやすいの?
・反復練習をすることで、「上手くなる」以外にもメリットはあるの?

について知っておくことで、「努力(反復練習)をすることには意味もメリットもちゃんとあるんだ!」と思って頂けるように、それぞれご紹介したいと思います。

(今回の紹介内容は、「上達の技術 一直線にうまくなるための極意」(児玉光雄著 ソフトバンククリエイティブ)を参考にしています。引用部分については、それぞれの箇所に記載しています)


まず、反復練習をすることでどういうことが起きているのか、について。

その変化は、自分の体、特に「」内で起きています。

フリーキックのような、セットしてから動き出す一連の動きは、脳のさまざまな部分を使い、体を動かすか、もしくは動かさないかなど判断を行います。

動く際のその一連の動きは、ひとつの「プログラム」として脳内に記憶されているわけですが。

実は、「大まかな動き」と「精度の高い動き」を記憶・管理する場所は、どうやら違う場所だということがわかっているそうなのです。

「大まかな動き」=長期記憶として大脳皮質というところが管理
「精度の高い、円熟した動き」=「小脳」や「大脳基底核」の働きが重要

という違いがあり、主体的に働く場所が変わるのです。
(記憶や管理する場所に関しては興味のある方は覚えて頂ければ良いと思いますが、興味のない方はとりあえず飛ばして、「違う場所が大切」というところだけ押さえて頂ければ結構かと思います。)


つまり、精度の高い動きをしたい(=上達したい)のであれば、なんとかそれを管理している場所に記憶を定着させる必要があるということです。

そしてその方法が、まさに「反復練習」なのです。


さらに、ここで新しい情報をひとつ。

スポーツにおける一連の動きというのは、

状況を判断する → どういった動きをすれば良いかを瞬時に判断 → 脳がそれぞれの動きを、判断から考えてそれぞれ(筋肉や骨)に指示 → 実際に動く

というイメージを持っている方も多いと思うのですが。

実は、精度の高い運動は、そのプログラムがほとんど完成品として脳内に貯蔵されているそうなのです。

上の例で言うなら、

状況を判断する → その判断からどのプログラムで動くのが最適かを、完成品のプログラムの中から脳が選び出す → 実際に動く

というようになります。

精度の高い動きは、各所の動きをいちいち脳が指示を出しているのではなく、一連の完成した動きのプログラムを選んで出すというイメージの方が、実は近いらしいのです。


こういったプログラムは、はじめは大脳新皮質で作成されたあと、小脳に移行しているのだと考えられるそうです。

つまり、最初はいちいち考え調節しながら行動しているけど、精度が上がり何度もその精度で練習をしているうちに、精度の高い記憶を管理しているところへ記憶が移っていく、と考えられているわけです。

そしてこの記憶が移る作業も、「反復練習」を行うことで起こるのだと考えられています。


つまりここまでを簡単にまとめると、

・精度の高い動きを覚える場所は、普通に動きを覚える場所とは違う
・まずは「普通に動きを覚える場所」に練習している動きが記憶される
・精度の高い動きを覚える場所にその練習の動きを覚えさせるには、「反復練習」が必要

ということですね。

この基本的な部分を押さえておくことで、ちょっとできるようになっただけで満足してしまい、精度の高い動きを覚える場所に記憶が移る前に反復練習を止めてしまって、すぐにまたできなくなってしまう(普通の動きになってしまう)ということを防ぐことができます。

実際の練習や漫画のシーンでもよく、「今うまくいった感覚を忘れないうちにもう一度!!」と練習を続ける場面は見られますが、その人にはおそらくこういった経験則が元にあるのだと思います。

今回の漫画の例でも、リフティング、フリーキックともに、何度もやることは「裏切らなかった」「努力の量に比例するに決まってる」と、断定形を使って強調されています。

実際の反復練習でも、一度うまくいった動きをその場で何度もやって、連続で成功すれば楽しく感じられるのは、達成感とは別に、脳の中でこういう動きが起こっていることを無意識に感じられるからなのかも知れませんね!


しかし、反復練習をすれば必ずうまくなるというものでもないのは、経験上ご存知な方も多いと思います。

上で紹介した書籍の中でも児玉先生は”工夫のない反復練習はまったく上達に貢献しないどころか、後退に結びつくこともあります。”と紹介されています。
(””内太字部分は、上記書籍からの引用です。)


では、どういった工夫をすれば良いのでしょうか?

さまざまな工夫があると思いますし、紹介した書籍でもいろいろ載っていますが、特にオススメしたいのは「フィードバック」という考え方です。


「フィードバック」は元は工業用語的な、システムに関する単語のようなのですが、今やビジネス用語や経済などでも広く使われている言葉なのでご存知な方も多いと思います。
(なので覚えていて損はない単語なので、ご存知ない方はこの機会にぜひ覚えてみてください!)

基本的な意味を簡単にいうと、「一回やったことを、振り返ってみて次に活かす」ということです。


これを成功する際の反復練習に当てはめるなら、

一度プレイしてみる → 成功した → うまくいった動きの再現性を高めるため、同じ方法・感覚でリトライする

ということになります。失敗例の反復練習なら、

一度プレイしてみる → 失敗した → 失敗の原因と思われる部分を修正する → リトライ

ということを繰り返していく、という考え方です。


毎回が成功例ならまだ良いのですが、失敗例では「フィードバック」という考え方がなければ、何も考えずにひたすら同じ動きをするので、同じ失敗を何度も繰り返してしまう可能性が高くなります。

しかし、精度の高さを求められるようなものは、得てして難しいものが多く、チャレンジは失敗に終わることがほとんどでしょう。

そして偶然原因が解決されない限り、もしくは偶然良い動きを自分がしない限り、つまりどちらにしても偶然という奇跡が起きない限り、上達には結びつかないということになってしまいます。 


今回の漫画の例で言えば、君下がフリーキックの練習を「疲れてる時にやらねーと試合で役に立たねーだろ」と言っているのがその点の工夫に当てはまると思います。

・疲れているときにやってうまくいったときの動きで再現性を高めることで、実際の試合中にもその精度で動けるようにすること
・疲れていないときにはうまくいく動きでも、疲れているときにうまくいかない動きなら、その方法をうまくいくものに修正すること

などが、この工夫(フィードバック)の結果として、彼の脳内には、精度の高いプログラムが、適切な場所に蓄積されていくようになります。

そうすることで、フリーキックのスキルや安定性が、あがっていくわけですね!


ちなみに、反復練習をして上達することは、同じ運動をするにしても消費エネルギーを大きく減少させる効果もあります。

つまり、慣れてくれば同じ動きを軽くできるようになり、疲れているときでもより小さなエネルギーで精度の高い動きを再現できるようになる、ということです。


これはなんとなく、実生活でもわかると思います。

肉体的な、体を動かす作業などでは、ベテランの人の方が同じ仕事でも軽々と行っているように見えるのは、楽するための技術を心得ているのと併せ、こういったところでも大きく差が出ていると思います。

ちなみに実験のデータでも、これは正しいことが照明されています。

上級者と初心者が、水泳で同じスピードで泳ぐこと、1万メートル走で同じスピードで走ることを、さまざまなスピードで検証してみた際、上級者の方が明らかに酸素摂取量が小さくなるそうです。

さまざまなスポーツがありますが、サッカーやバスケットボールなど、激しい動きの中でも正確で精度の高い技術が求められるもの、また激しい運動そのものが求められるものなら、この差は本当に大きなものだ、というのがわかると思います。


ここまでをまとめると、反復練習は

・精度の高い動きを適切な場所に記憶することができるようになる
・「フィードバック」など、工夫をした練習をすることで、効率よく行える
・同じ運動をするにしても、より少ないエネルギーでできるようになるため、余裕もできる

という働きとメリットがあることがわかります。

特に最後のメリットに関しては、それを手に入れて楽々と動作をこなす自分を想像するだけでも、すこしワクワクするんじゃないかな? と思います。

反復練習が辛いものに感じた場合は、このことをぜひ思い出してみてくださいね!


※ ただし、やり過ぎてケガをしたりしないようには注意してくださいね!
   反復練習でも、少し間をあけて、休憩しながらやる方が良い場合もあります。
    焦らず、繰り返し練習していきましょう!



以上、反復練習がもたらす効果と大きなメリットについてのご紹介でした。


「DAYS」の大きな魅力のひとつとして、「キャラの濃さ」があるんじゃないかなーと、個人的には思っています。

どの週のどの回を読んでも、(それが正しいものかどうかはともかくとして)それぞれの人間が自分の個性を前面に出しているように思います。

今週も外から熱く叫ぶ人がいたり、自分の特技をしっかりと活かして結果を出す人がいたり。

特に柄本はその懸命な動きだけで、ボールに触ってもいないのに「よくやった」って言われていますし(そのシーンの画像はブログのテーマから外れるためありません、ごめんなさい)

それぞれのキャラが立っているからこそ、プレイに意外性があるのに妙に納得できたりする部分もあったりで、特に今週はとても面白く感じました。


これからもそれぞれが個性を活かしつつ、いろいろな試合が行われると思います。

個性的…という言葉だとイメージと少し違うかもしれませんが、それぞれの人間性が(勝ちにしろ負けにしろ)ひとつの感動的な結果を生み出す漫画だと思います。

ぜひ一度、目を通してみてくださいね!



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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