2014年10月16日木曜日

価値を感じるものは実際の大きさよりも大きく見える (火ノ丸相撲 第20番「2人の小兵と2つの答え」)

唐突ですが、これを読んでいるあなたに問題です。

500円玉は、どのくらいの大きさでしょうか?

また、1万円札はどのくらいの大きさでしょうか?

なんとなくイメージしてみて、大きさを紙に描いたり、手で想像して作ってみてください。


やってみるとわかりますが、実際の物はそれよりも大きかったり小さかったりします。

当たり前ですが(笑)

しかし実は、実際のサイズよりも想像したサイズが大きかったり小さかったりするのが、偶然や勘違いなどではなく、自分自身の「価値観」によって左右される、と言われると、とても意外でびっくりしますよね?

今回はそんな、「想像の大きさ」と「自分の価値観」の関連性を、週刊少年ジャンプ2014年46号掲載、火ノ丸相撲 第20番「2人の小兵と2つの答え」のワンシーンと併せてご紹介したいと思います。


(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)

火ノ丸相撲 第20番「2人の小兵と2つの答え」にて出てくるシーンを、まずご紹介します。


「火ノ丸相撲」は、タイトルの通り「相撲」がテーマになっている漫画です。

かつて小学生日本一だった潮 火ノ丸(うしお ひのまる)は、将来の横綱候補「国宝」として有名になったものの、中学以降は背が伸びず相撲界の表舞台から消えていました。

そこから鍛え直し、高校相撲界で再び頭角を現した火ノ丸。

彼は自分が所属する高校の新人戦にて、火ノ丸と同じく低い身長ながら、昨年の全中無差別級にて全国ベスト8まで勝ち進んだ「小兵の王様」の異名を持つ狩谷 俊(かりや しゅん)と対戦することになりました。

火ノ丸は、小兵である事を「拒む」かのような横綱相撲。

対して狩谷は、小兵であることを「活かして」戦うスタイルです。

お互い、スタイルの違いはありながらも相手を倒して勝ち上がっていく中でやってきた機会で、小さいけれども、間違いなく優勝に絡んでくる実力を持つ2人の立ち合いは、まわりの注目を集めます。

気になって見にきたまわりには、そんな注目を集めた実力者2人が、とても大きく見えるのでした。




ここから今回のブログのテーマに入ります。

上でご紹介したのは「火ノ丸と狩谷の大きさが、実際よりも大きく見えた」というお話の部分です。


身体的な面でも精神的な面でも、相手が強そうに感じた場合や、自分が「勝てない」と感じた場合には、実際以上に相手が大きく感じた、という経験のある方も多いと思います。

「オーラがある」とか言われる人も、実際に体が大きく見えたりすることもありますよね?

どちらの場合も、よく漫画の表現でも登場します。


実は、これらは日常の場面でもよくあることだということがわかっているのです。


それを示すひとつの例として、たとえばアメリカで行われた実験にこういうものがあります。

2つの学生のグループに、同じ人物を紹介します。

片方のグループには紹介する人物が大学教授だと紹介し、もうひとつのグループには実験参加者と同じ学生だと紹介します。

そして紹介したのち、紹介された人物の身長を学生たちに見積もってもらう、という実験です。

この実験の結果、大学教授だと紹介したクラスの学生の方が、紹介された人物の身長を大きく見積もった、という結果が出ています。


身長と与える価値の関係はその他にも、

「ある大学の卒業生の統計では、身長が高いほど給料が高かった」

という話もあります。

これはアメリカでの統計的なのですが、アメリカでは会社との交渉で給料が決まる年俸制が導入されていて、会社が身長の高い人に対して「価値がある」と感じやすかったことが要因で、この結果が出たのでは? と考えられています。

上の例とは逆に、「価値があるものが大きいと感じる」のではなく、「大きい人には価値を感じやすい」という可能性がある、一つの例になると思います。


また、コインを使った実験を先の例に出しましたが、これはブルーナーとグッドマンが行った実験を元に紹介しています。

この実験によって、社会的な価値があると思われるモノは大きく感じられる、ということがわかっています。


実験の内容は以下の通りです。

普通程度の知能をもつ10歳の子供30人を集め、スクリーンに映る調節可能な「光の円」を、与えられた例と同じ大きさにする、という課題を与えます。

グループを2つに分け、片方のグループではコイン(1セント、5セント、10セント、25セント、50セント)をランダムに、様々な順番で4回見せた後、光の円をその大きさに調節してもらいます。

もう一つのグループには、コインと同じ大きさの、灰色のボール紙の円盤を使って同じように課題を行ってもらいます。

その結果、コイン(=社会的に価値があると思われるモノ)を使った方が、より大きくサイズを判断し、しかもコインの値段が高い方(=価値が大きいと感じる方)が、実際の大きさよりも大きく描かれていたことがわかりました。

また、同じ実験を裕福な家庭の子供と貧困な家庭の子供のグループに分けて行ったところ、貧困家庭の子供の方がコインの大きさをかなり過大評価した、ということもわかりました。

それぞれ、人がそのモノに感じる価値が大きいほど、サイズも大きく見積もる結果になっているのだろう、ということがわかります。

(ここまでで紹介した例や実験は、「ココロの不思議を解く心理実験室」(渋谷昌三著 河出書房新社)を引用・参考にしています。)


コインの実験は第二次大戦前のものだそうですが、それぞれ大なり小なり、同じような結果は現在の環境でも出ると思います。

今回挙げた「火ノ丸相撲」の例でも、まわりの人間が「火ノ丸と狩谷が強い(相撲界として価値がある人物だ)」というのを、その雰囲気や実力から、しっかりと感じ取っているため、彼らを大きく感じたのだと思います。


そう考えると、もし自分が出会った人物が実際よりも大きく見えることがあれば、それは自分がその人に「価値がある」と感じるから、もしくは自分が「価値がある」と感じるものをその人物が持っているから、なのかもしれません。

つまり、この話は「自分の価値観に気付くひとつの指標」になる可能性も、あるということだと思います。

もちろん、ただの気のせいだった、という可能性もあります(笑)

「身長を大きく見せるためのアイテムや工夫」なんていうものが世の中に溢れている、という理由が、なんとなく理解できるようなお話だと思います。

そういったものに惑わされないようにするためにも、ぜひ覚えてみてくださいね!



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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