2014年8月30日土曜日

週刊少年ジャンプ39号掲載読み切り「肋骨さん」 (自分の価値を信じられないと自分を大切にできない!? 自分の価値を疑わない大切さ)

今回は週刊少年ジャンプ2014年39号掲載、第9回ジャンプ金未来杯読み切り「肋骨さん」を例に自分の価値を疑わないことの大切さと自尊感情についてご紹介したいと思います。


自分は価値のある人間だと思いますか?

もっと簡単な言葉でいうなら、自分のことは好きですか?

答えがどちらだったにしても、「自分は価値のある人間だ」「自分のことは好きだ」と思いたいという気持ちは、誰にでもありますよね!

そう思うために必要なものが、「自尊感情」と呼ばれるものです。

自尊感情を高めるように考えたり行動したりすることで、自分のことをもっともっと好きになれます。

今回ご紹介している漫画の主人公は、自分の価値をあまり信じられない状況です。

もしあなたも「自分のことが好きになりたいけれどなれない」状況なら、きっと参考になると思いますよ!

・自分の価値を疑わないようにするためには
・自分をもっと好きになるためには

のヒントと、それに関わる「自尊感情」についてを、今回はご紹介します!


(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)

まずは「肋骨さん」のあらすじのご紹介から。
(テーマに取り上げたかった部分に合わせて他記事と同じく必要最低限に抑えているつもりですが、今回は少し長めです。長いのがつらい方は、画像の上と下だけ目を通すだけにしてみてください。)


この漫画には「邪氣(じゃき)」というものが出てきます。

それは毒のようなもので、人に付着することを好み、人には視えない性質のものです。

その邪氣を視たり払ったりすることができるのが浄化師という存在で、この漫画の主人公である「アバラ」がその浄化師です。


浄化師は邪氣だけではなく、人が感じている愛情や感情、気持ちなどが、人そのものからや、その人から溢れ出たものとして道端に落ちているように視えます。

溢れ出た気持ちや感情は基本的には害のないものですが、邪氣まじりになった感情は、その感情の持ち主が「邪氣憑き」になっている可能性があり、その場合本人の考え方や行動に悪い影響が出ていることもあるため、放置はできません。

今回の話では、「髪」に対する感情に邪氣がついたものを、アバラが発見します。

その感情からは危険を感じられたため、アバラはその感情の後を辿ることにしました。


辿った先は、1件の家でした。

そのまわりには複数の人が囚われている感情の気配があり、中の様子を伺ってみると、窓から実際に人が囚われているのを確認できたため、アバラは救出すべく、窓を割って建物内へと侵入します。

そこは、髪の美しさに憑りつかれ欲望のままに行動する女性が、数人の女性を監禁している場所でした。

邪氣に憑かれると人はおかしくなると共に、異様な力を使えるようになります。

髪をハサミに変えたり、切断する機能を飛ばしたりする能力を持つ女性に対し、アバラは神器”羽衣”という体に巻き付けた布を使い、対抗します。

しかしアバラは人質を背中に庇いながら戦いをしているため、相手はその人質へも攻撃することによって、アバラをどんどんボロボロにしていきます。

出血もありフラフラになりながら、アバラは過去に出会い命の恩人となった、そして出会ったその日に死んでしまった「善而(ぜんじ)」とのことを思い出していました。

邪氣憑きに襲われ危機に晒されていたアバラを救った善而は、自分の好きにしてアバラを助けたこと、自分の死はアバラのせいではないことを伝えながら、死んでいきます。

アバラは「どうして善而は何の所縁もない僕を助けたんだろう」と、善而の守護霊だった河童に問いかけます。

浄化師として人を助けたからといって、何も良いことはありません。

浄化師は人に知られない存在で、その行動はお金になるわけでもなく、命の危険もあり、もし死んでもほとんどの人には知られることなく死んでいきます。

苦難にある人を見ても知らない顔をして過ごすこともできるはずですが、善而はそれができない、底抜けに優しい性格の人間でした。

その上で、アバラは考えます。

子供の頃から優しく、損な役割を過ごしたような、しかも家族もいて愛情を受け与える権利を持っているような善而が死んで、親も兄弟もいない自分が生きてしまったこと。

人の愛情の繋がりを壊したり千切ったりしてはいけないのに、そう考えているアバラ自身がその原因になってしまったこと。

そのことから、アバラは浄化師になることを決意したのでした。

そうでなければ、善而を差し置いて自分自身がこの世に存在していいはずがないと、感じる痛みを振り払い、自分を鼓舞し、目の前の敵との戦いへと集中していきます。

相手の気持ちが焦るほどに、アバラは、どれだけの攻撃を受けても倒れず、どれだけの血を流しても、どれだけの傷を受けても痛みを気にせずに、まるで生きている意味を求めるかのように戦い、そしてやっとの思いで相手の邪氣を払うことに成功するのでした。

相手を倒したのちすぐ、アバラは自分の大怪我を無視して、囚われていた女性たちを保護してもらうため、救急車と警察を呼ぶために移動します。

そんなアバラを、囚われていた女性のうちのひとりが追いかけ、呼び止めます。

「消防士の肋骨さん!!」(思いっきり間違えてますが、浄化師のアバラさんと呼びたかったようです)

呼び止め、「怪我は…」と大怪我をしているアバラを気遣う彼女に対して、アバラはこう答えます。

「問題ないです。僕が死んでも悲しむ人はいないので、気にしなくて大丈夫」と。

そんなアバラに対して、彼女は「それはあまりよくない考え方です」と返して、続けます。

自分も家族がおらず施設に入っていること。そのため、自分も自分に対して、アバラと同じように思ってしまっていること。

その考え方と態度に対して、施設の人から注意を受けたこと。

その注意は「誰かに大事にしてもらおうと思うのではなく、自分で自分のことを大事にしてやりなさい」という内容であったこと。

そんな話をしてくれた女の子(みおちゃん)が施設に無事帰ってきたところを見届けながら、アバラは考えます。


アバラが一番怖れていたのは、善而の死が何の意味も価値もない出来事になってしまうことでした。

アバラは孤独の身であることから、人に命を懸けてまで助けてもらえる人間だと思っておらず、助けられたことで本当に困惑してしまいました。

だからこそ、善而の死を無駄にしないために、他の誰かを救済することができれば、とアバラは考えたのですが。

「でも善而はそんなこときっと気にしない」「僕(助けた対象)の価値だとか損得だとかそんなことはまるで頭にないのだ」と、アバラは気付きます。

そんな優しい人を死なせてしまうことが申し訳なくてたまらなかったことで、せっかく善而が守ってくれた自分の命をアバラはあまり大事にできなかったのですが。

いまそれを考えると、それはとてもひどい考え方だったと、善而に対して大変な失礼だったんじゃないだろうかと今更ながら気づいた自分に

我ながら遅いと思いつつ、自分の態度を反省し、善而の件以降ずっと自分についていてくれた(元は善而の、現在は自分の)守護霊の河童に対しても反省をし、

自分の一生懸命の方向性を間違えていたことを認めつつ、アバラは感謝を伝えるのでした。



ここから今回のブログのテーマに入ります。

今回注目したのは、アバラが助けてもらった自分の命をあまり大事にできなかったことです。

本編を読んで貰えればわかるのですが、善而だけでなく、アバラ自身もとても優しい性格の持ち主です。

しかも「人とは違う特殊な能力を持てた人間」なので、普通であればそのことに優越感すら得てもおかしくないのですが、なぜそんなにも自分の命を大切にできない考え方を抱えたのでしょうか?


いろいろ可能性は考えられると思いますが、個人的には「アバラ自身が自分は価値のない人間だと考えていたこと」がポイントになると感じました。

そしてその要因は、「善而の死が何の意味も価値もない出来事になってしまうかもしれない」とアバラが考えたことです。

善而のように、優しく、まわりの困難な状況の人を助けられて、家族から愛を受け取れるような人間に命懸けで(その人が死んでまで)助けてもらうような価値が自分にはないと、アバラはそう考えています。

しかし善而は死んでしまい、自分は生き残ったことで、自分と善而の間にある「価値の差」を必死で埋めなければと考え、アバラは行動することになります。

アバラが感じているその「価値の差」が、自分自身は価値がない人間だという考えに結びついていると思います。


それを踏まえたうえで、話をテーマに戻します。

実は、自分のことがあまり好きでない(自分はあまり価値がないと感じる)人は、自分のことを大切にしない傾向にあることがわかっているのです。


「自分には価値がある」と思える人は、だいたいが「自分のことが好きだ」というような肯定的な感情を自分に対して持っていると思います。

自分に対して「好き」などの肯定的な感情のことを「自己愛」や「自尊感情」と呼びます。

つまり自尊感情を持っている人は自分のことを好きだと感じているのですが、実は自分に価値があると考えることが自尊感情を持つことに繋がることがわかっているのです。


アメリカの心理学者であるローゼンバーグは、自尊感情を測定するテストを行っていく中で、自尊感情が高い人は自分のことを「これでよい」と肯定的に考えていることを発見しています。

つまり、逆に「自分には価値がない」と考える人は自尊感情が低い傾向にあり、そのため自分をあまり大切にしないことに繋がるわけです。


実際の例が、TVなどでも活躍されている植木理恵先生の「本当にわかる心理学」という本にも紹介されています。
(以下、””内や「」内など一部引用部分があります。)

「電車に乗ってくる老人を見るとムカつく」とよく語っていた20歳男性の方の例です。

ムカつく理由は”いかにも席を譲ってくれと言っているような空気を出すから”だそうで、”「年寄りはおとなしく家にいろっつーの。迷惑だよな」とこれ見よがしに口にし、わざわざ荷物を空席に置いて埋める”といった人物だったそうです。

これだけ聞くと、そんな人物は常に強気で、「自分には価値がない」と考えるような繊細な部分など無いように感じられますよね?

しかし実際には、”時折自分が嫌いだと叫んではリストカットを繰り返し、「俺は最低だから死んだほうがいいよね」と泣きじゃくる”ことが幾度もあったそうで、また、”自分と関係のない他人のことを敵視しするのですが、いつも心は空虚で寂しそうな印象”でもあったそうです。

結論として、他人を敵視することは巡り巡って「自分自身を敵視する」ことに繋がると、同書にて紹介されています。


少し漫画の例と違うので話が逸れた感じがしますが、上記の例も今回の漫画の例も、どちらも「自尊感情が低い」ことが原因ということが共通点です。

そしてそのことから、「自分を大切にするには自尊感情を高めればよい」ということがわかります。

では、どうすれば自尊感情を高めていくことができるのでしょうか?


自尊感情を高める方法は、意外にいろいろあります。

なので詳しくは調べて頂ければそれぞれ「やってみようかな」と思える方法が見つかると思うのですが、ここでは漫画に出てくるシーンから、参考になる部分を2つご紹介したいと思います。


まず1つめは、自分の価値を疑わないことです。

アバラのように自分から言い出す人は稀ですが、他人から「あなたは価値のない人間ですね」というような内容のことを言われたことはありませんか?

これ、実は言いたがる人は意外と多くいます。

その根本にあるのは、偽りの優越感を得たいという欲求です。

こういったことを言う人は、相手と自分とを比較し、何かが違うという部分を見つけては優劣をつけ、相手のことを価値のない人間と判断します。

そして自分が他人より優れているという確信を持つことで、自分の価値が高められたように錯覚し、自尊感情が高まったような気分を味わおうとします。

しかし、優劣を示す絶対的な基準というものは、実は存在しません。短所に見える部分は、長所として捉えることがだいたい可能です。

例えば「仕事が遅い」と感じることについては、「作業が細かい」「慎重な性格である」といった具合に、ポジティブな側面があることがほとんどです。

なので、もし何かマイナスな面があると感じても、またそのマイナスな面と感じる部分を誰かから指摘されても、自分の価値を疑う必要はありません。

今回の漫画のシーンの中でも、アバラに助けられたみおちゃんがマミコさんからもらったアドバイスが、上記のことが少し違う形で話されているのだと感じます。

「ひねくれている(と相手が感じる)自分を、誰も大事になんかしてくれない。だからせめて自分くらいは、(マイナスの価値と感じられるため)誰にも望まれていないならせめて自分くらいは、自分のことを大事にしてやりなさい。」ということだと思います。


2つめは、感謝の言葉をすぐ口にすることです。

漫画の例でも最後は、いつもついていてくれた守護霊に対する、アバラからの謝罪と感謝の言葉でした。

感謝の言葉を感じたときにすぐに伝えるというのは、やっているつもりでも意外に先延ばしにしがちで、しかもタイミングを逃すとなかなか伝えられないものです。

自分がどれだけ感謝しているかを、支えてくれたり親切にしてくれたりする人に伝えたとして、そのときのことを想像してみてください。

伝えられた側はもちろんですが、伝えた側である自分も、とても清々しいような、いい気持ちになると思います。

善而の死のときでも、アバラ自身が困惑していたためかなり難しいとは思いますが、もし一言でも「ありがとう」という言葉をアバラが善而に伝えることができていたなら、その後の彼の心の中も、少しは変わっていたのではないかと感じます。

また感謝を伝えることで、相手の価値を認めたことにもなるため、相手の自尊感情も高まると思います。

感謝する気持ちを感じたら、その人にすぐに伝えるようにしましょう!


その他にも自尊感情を高める方法として、「自分をけなさないこと」「人助けをすること」など、いろいろなものがあります。
(機会があれば、また詳しくご紹介したいと思います!)

自尊感情が高まれば、自分をもっと好きになれて、自分をもっと大切にできて、気持ちの良い日々を送れるようになると思います。

調べた際に自分に合いそうなものがあれば試してみて、もっともっと自分を好きになれるように工夫してみてくださいね!


以上、自分の価値を疑わないことの大切さと自尊感情についてのご紹介でした。

全体的に少し長くなってしまいましたが、本編も長い分ご紹介したい部分が多くあり、この量になりました。

ご容赦頂いて、あまり気負いせずゆっくりとでも読んで頂ければ幸いです。


話は変わりまして。

「肋骨さん」、優しいひとたちのオンパレードでしたね! (一部除く 笑)

記事を書く際には何回もその話を読み返すことが多いのですが、読み返すたびに登場人物の優しさを感じるのがどんどん強くなって、途中なんだかちょっと泣きそうになるくらいでした。

個人的にはとても良い話だったと思います!

読み切り作品はページ数が多いこともよくあるため、テーマがしっかりと表現されていることも多く、読んでいて好きになってしまう場合が自分は結構あります。

今回の近未来杯もここまで面白い作品が多く、それぞれの作品の先生方のこれからのご活躍を楽しみにしています。

本誌では気に入った作品だけ読んで終わり、っていうパターンの方も多いと思いますが、見慣れない作品が載っていることに気付いたときは、深いテーマで面白いものに出会える機会も多いと思うので、時間があれば、目を通してみてくださいね!



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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