2014年7月28日月曜日

だがしかし 第9かし「ブタメン」 (高価なものを買うときに感じるリスク、その原因は本来の財布とは別の「心理的な財布」?)

今回は週刊少年サンデー2014年34号掲載、だがしかし 第9かし「ブタメン」のワンシーンを例に、高価なものを買うときに感じてしまうリスクに関わる、「心理的な財布」についてご紹介します。


何かを買おうと思ったとき、その商品の金額を見てから「財布と相談をする」ことって、たまにありますよね?

大体そんなときは、「使える金額」と「買いたい商品の金額」が近い状況で、「これを買っても大丈夫かな?」と悩むと思います。

そしてそんなときには「買って失敗したらどうしよう!?」という心理も働きやすいはず。


でもよく考えてみると、その日その他に買うものとか、すでに買ったものとかの合計金額が「悩んでいる商品の金額」よりも多くなっていることはよくあります。

すでに使った経験のある金額と同程度の額か少ない金額を使うだけなのに、状況によって悩んだりリスクを感じたりするのは、残金の問題もありますが、実は自分の財布とは別の「心理的な財布」というものがあるからというのを、ご存知ですか?

この心理的な財布という感覚を知っておくと、「気がついたらお金を使い過ぎてた!」ということを防ぐことができるようになるかもしれません。

今回はそんな「心理的な財布」に関して、ご紹介します。


(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)

まずはだがしかし 第9かし「ブタメン」のワンシーンとあらすじのご紹介から。


「だかしかし」は、駄菓子がお話のテーマに必ず入ってくる漫画になっています。今回の駄菓子は「ブタメン」という駄菓子です。

今回のお話は、主人公である鹿田ココノツ(しかだ ここのつ)のもとへ、駄菓子マニアで、都会からはるばるココノツの父親が経営している田舎の駄菓子屋へと来ている枝垂ほたる(しだれ ほたる)が登場するところから始まります。

ココノツは、今にも壊れそうなエアコンを見つめながら店番をしていました。

しかし壊れそうなものでも、無いと困る代物。特に今日は暑いらしいし…と考えごとをしているところへほたるが唐突にやってきて、

おもむろにエアコンを切ります。

「なぜ消したーッ!?」と叫ぶココノツをよそに、ほたるは夏の暑さを乗り越えるスタミナをくれる駄菓子「ブタメン」が、今回のテーマであることを声高らかに宣言します。

エアコンを切り、何故かストーブでお湯が沸くのを待ちつつ、「夏は夏の暑さを感じるなかでブタメンを食べるのが良い」ということを、ほたるは力説します。

そして、話は「なぜほたるがとんこつ味のブタメンが好きか」という方向へと進んでいきます。

ブタメンの値段は70円する駄菓子で、駄菓子としてはかなり高価な部類に入るといって良いものです。

味はいろいろあるものの、別の味を試すには比較的高価なことでリスクが感じられ、結局安心な選択肢である「とんこつ」を選んでしまい、その結果親しみが生まれたのだ、というのがその理由でした。



ここから今回のブログのテーマに入ります。

注目したのは、比較的高価に感じられる駄菓子「ブタメン」の他の味にリスクを感じたことです。

作中では「100円を持った少年が70円の駄菓子を買う」というシチュエーションのため、絶対に失敗できないリスクを負う感覚がとてもわかりやすく説明されています。

しかしよく考えてみると、次にまた100円持っているときに改めて「とんこつ」を楽しむ機会はあるはずなのに、「失敗してもいいや、次があるし」と全く思えないのは何故なのでしょうか?

気持ちはわかりますが、次に同じような機会がほぼあることを考えると、リスクを強く感じ過ぎている気もすると思います。

実はそこに、「心理的な財布」が絡んでいる可能性があるのです。


実は、人は「自分が同じと感じる分類やジャンルのもの」に再度金額をかけることに、心理的な負担を大きく感じるということが実験でわかっています。

研究者のカーネマンとトベルスキーという方が行った実験で、2つのグループの実験参加者に別の質問を行い、その回答の統計を取るものです。

1つめのグループには、

「あなたはある舞台を見に行こうと思い立ち、1万円でチケットを購入することを決めたとします。舞台の当日、劇場に着きあなたがチケットを買おうとすると、財布の中から1万円札が1枚無くなっていることに気付きました。それでも、1万円でチケットを買いますか?」

という質問を行います。2つめのグループには、

「あなたはある舞台を見に行こうと思い立ち、1万円ですでにチケットを購入していたとします。舞台当日、劇場に着くとあなたは1万円で購入したはずのチケットが無くなっていることに気付きました。1万円で新しいチケットを買い直しますか?」

という質問を行います。

上記の質問は、見ていただければわかる通り「舞台を見ようと思うとかかる金額は全く同じ」で、「舞台を見るのを諦めてもかかっている金額は全く同じ」ようにできています。

しかし、1つめのグループに行った質問では、チケットを買うと回答したのは183人の回答者の中の88%に上り、2つめのグループへの質問ではチケットを買い直すと答えたのは200人中の46%に留まるという、明らかな違いが出たのです。


「かかる金額は同じなのに判断が変わる」という不思議な結果ではありますが、しかし自分に置き換えて考えてみるとそう判断したくなる感覚はわからなくもない、という結果ですよね。

「金額は同じ」なのに「気持ち(考え)は違う」という結果となった要因は何でしょうか?

それが上記した「心理的財布」によるもの、つまり「分類やジャンルの違い」です。

例に出した実験では、1つめの質問は同じ2万円の中で「無くしたお金」と「舞台を見るのに使うお金」に気持ち的に分類されるのに対して、2つめの質問は全額「舞台を見るのに使うお金」になります。

つまり、「無くしたお金」に使ったお金と「舞台を見るのに使うお金」はいつの間にか、食事とデザートの「別腹」のように、個別に認識されているのです。

別々の用途で使うお金は、たとえ合計が同額でも心理的な負担が少ないということです。


今回の漫画のテーマになっている「駄菓子」でも、同じような経験をしている人は多いと思います。

70円のもの1つ買うのと、10円のものを7つ買うのとでは、「心理的な損得」や「贅沢に感じるかどうか」が大きく変わります。

そのことは漫画内の説明でもわかりますし、実体験で感じた方も多いのではないでしょうか?

金額的な面でのみ考えれば、どちらも70円なので損得や贅沢感は変わらないはずです。

しかし、

・甘い駄菓子や辛い駄菓子など様々な種類に分かれるものをいろいろ買えること
・逆にそれらを全てを買える金額のものを1つだけ買うこと

で、得られる気分は全く変わるのは、質量的な面のみではなく、心理面での作用が働いていることがわかると思います。


ちなみにこの考え方や感覚は、そのまま実生活での「節約」や買い物での「満足感」に応用することが可能だと思います。


例えば使える金額が決まっているとして、ストレス発散に買い物をしたい人が「贅沢な買い物をした!」と感じやすくするためには、どうすれば良いでしょうか?

普通に考えれば、金額内で「食事」「服などのショッピング」「遊び」などいろいろな用途に使うのが良いように思います。

もちろんその考え方を否定するつもりはありませんし、「贅沢」というのが質量的なものの場合ならいろいろたくさん買う方が良いのかも知れません。

しかしできるだけ少ないお金で「いっぱいお金を使っちゃった!」的な感覚を得たいなら、個人的には「好きなジャンルのものを1つに絞って、その中で色々なものをできるだけたくさん買う」ことをオススメします。

「同じ種類やジャンルのものにお金を使うことが心理的な負担になる」ということを逆手に取って、わざと負担の多い方を選ぶわけです。

たとえば金額の上限が15000円だとして、

・食事に5000円、服に5000円、漫画に5000円使う
・食事に1000円、服に1000円、漫画に13000円使う

なら、漫画好きの人なら間違いなく下の選択肢の方が満足できるのは想像できると思います。
(食事が好きな方は食事を13000円、服が好きな方は服を13000円、どれも好きでない方は漫画の部分を好きなものに置き換えて想像してみてください)

しかし、普段の生活を振り返ってみると、贅沢したいときには全てにたくさん使ってしまいがちで、気がつけば物凄い合計金額になっていることもあるものです。

家に帰って、自分の好きなジャンルのものがたくさん並ぶ光景(もしくはそれを楽しんでいる自分の写真など)をいっぱい見ることで、同じ金額でも「たくさん使った!」と感じることができると思います。


逆に「節約」に使う場合には、「いろいろなジャンルの買い物と感じているものを、全てまとめて同じ一つの”出費”などのジャンルとして考える」ことがオススメです。

普段の生活で「今日はお金を使いすぎて失敗した…」とヘコんだときのことを思い出してみてください。

「財布の中にあったはずのお金が無くなったのを見たタイミング」でヘコんでいることが多くありませんか?

それは、実際の残高を見ることで今日かかったお金を全てひとつの「出費」として考えたことで、個別に考えて使っているときには感じなかったストレスを、まとめて感じているのだと思います。

なので考える順番を逆にして、お金を使うたびに全て「出費」というジャンルとして合算し直して考えます。

そうすることでストレスを感じるタイミングが早くなり、出費を最低限に抑える方向に考えが向きやすくなると思います。

逆に、「美味しい食事」「服やアクセサリー」「美容関連」「趣味趣向」など、いろいろな方向に気持ちが向いているときは、合計の出費が多くなりがちなので、注意しましょう。


「心理的な財布」の考え方を覚えて、ぜひ活用してみてくださいね!


以上、高価なものを買うときに感じてしまうリスクに関わる「心理的な財布」についてのご紹介でした。


最初にも説明しましたが、「だがしかし」のテーマは「駄菓子」です。

今までありそうで無かった漫画のテーマだと思うのですが、どうでしょうか。

もし出てたとしても、どうしてもチョイ役というか、メインのテーマには結局させてもらえないという感覚があるので、その分「だがしかし」はここまで駄菓子が話の中心になることも多く、個人的にとっても期待しています。

あと、駄菓子をめちゃくちゃ美味しそうに食べるほたるが個人的にとても好きです。ホントに美味しそうに食べるので、小腹が空いているときには注意して読んでください(笑)

1話ごとのページは少ないですがその分読みやすいですし、キャラクターも魅力のある感じになってます。

駄菓子好きの方は、ぜひ一度読んでみてくださいね!



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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