2014年7月21日月曜日

囚人リク 第165房「飛来」 (「何かのせいにしてんじゃねえ!!」 失敗や負けを「自分の責任」と思うことって、実はとても大切!)

今回は週刊少年チャンピオン2014年33号掲載の囚人リク 第165房「飛来」のワンシーンを例に、失敗や負けの原因を「自分のせいだ」と考えることの大切さについてご紹介したいと思います。


何かがうまくいかず、その言い訳や失敗の経緯を説明しているときにはよく、

「他人のせいにするな!」
「他のことのせいにするな!」

と怒られることがあります。

他人から言われなくても、自分に自分で、心の中で「他人のせい」「自分以外の何かのせい」にしてしまうこともあると思います。

しかしそもそも、どうして「他人のせい」「何かのせい」にしてはいけないのでしょうか?

実は、失敗から学習し成長するためには、この考え方が特に重要だからなんです。

今回は他人のせいにしてはいけない理由を、心理学的な面からご紹介します。


(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)

まずは、囚人リク 第165房「飛来」のワンシーンとあらすじのご紹介から。


現在、主人公のリクとその仲間たちは「極楽島特級刑務所」という場所に収監されていて、その刑務所からの脱獄計画がいま、最終段階にきています。

脱獄がうまくいけば今いる場所から離れることになるため、同じ場所にいる仲間や思い入れのある場所などに対して、登場人物たちは各々特別な感情を抱いているようです。

今回はその主要登場人物のうちの2人にスポットが当たっていて、その心にある感情の描写がメインの回となっています。

脱獄計画に加わっているひとりである椿陽平(つばき ようへい)は、この漫画の主人公であるリクと戦う以前は16木工場(通称イチロク)のトップとして活躍していましたが、リクと戦った際、リクの正々堂々とひたむきに戦う姿に心を打たれ、現在は彼の仲間になっている状況でした。

もうすぐ脱獄ということもあり、リクとの戦いがあった場所へと来て想いにふけっているところへ、過去仲間だったイチロクのメンバーが通りかかります。

過去のイチロクのメンバーは、当時トップだった椿が、見た目からはおおよそ勝てるはずもない体格差のリクに負けてしまって以降、まわりから笑いものにされていることに腹を立てていました。

そしてそんな悲惨な現在の状況になっているのは、全て椿のせいだと考えており、イチロクメンバーは「オトシマエをつけろ」と椿に話しかけます。

それに対して椿は「好きにしろ」と返しますが、ただし今リクを侮辱したことに対してはお前にもオトシマエをつけてもらう、とイチロクメンバーに言い放ちます。

「あいつは本当に強かった」そう椿は話します。

どこが強いのか全く理解できないイチロクメンバーは反論しようとしますが、

それを椿は拳を目の前に振りかざすことで遮り、

「自分たちのように何かのせいにしようとしない」こと、それがリクという男の強さだということを伝えつつ、

自分の弱さもしっかりと認め、謝罪を言葉にするのでした。



ここから、今回のブログのテーマに入ります。

注目したのは、椿の認めている「リクの強さ」が「(うまくいかないことを)何かのせいにしない」という部分だということです。

特にリクの今の状況は、「刑務所に収監されている」状況です。普通に考えれば、やりたいことも思うようにできないのは「今いる状況が劣悪だからだ」と考えてしまっても、おそらくそんなに強く責められることはありません。

ではなぜそれすらも「他のせいにしない」「他人のせいにしない」必要があるのでしょうか?

本当に、その必要はあるのでしょうか?


まずは、「全てを自分のせいだと考えること」がいろいろな本でも紹介され勧められていることをご紹介したいと思います。

心理学に造詣が深く自尊心に関する研究を行っていて、さまざまな本を出されているジェリー・ミンチントンさんの「うまくいっている人の考え方 完全版」という本では、「自分の人生に起こることすべてに責任を取る」というタイトルの章で紹介されています。

物事が自分の思い通りにいかないときには、

・運命や神様、他人の責任にしてはいけないこと
・身の回りのほとんどの出来事は、自分のとった行動、または自分が行動しなかったことに原因があること

を理解することで、人間関係など今後の人生が大きく変わると紹介されています。


また「マンガでわかる心療内科」の原作を担当されていることで有名なゆうきゆう先生の書籍「やりたいことをぜんぶ実現する方法」の中でも、「どうして、ではなく、どうしたら」というタイトルの章の中で、

・優れたビジネスマンほど「何かが起こったときに、他人のせいにせず、自分で責任を取る」という傾向にあることが、統計結果でわかっていること
・「何かのせいにする」こと自体、まったく意味のないこと
・結局、人間「自分のせいではない」ことなんて、「ない」こと

などを例に挙げながら、「どうして?」ではなく「どうしたら(良いか)?」と考えることを勧めていらっしゃいます。

その他の本でも、自己啓発系の本にはよくこういったことが書かれているため、目を通してみるとさまざまな方面から「良いこと」として認識されている方も多いと思います。


では、そもそもなぜ「自分のせい」だと考える必要があるのでしょうか?

ここからはその理由について、「原因帰属理論」という、心理学の面からご紹介していきます。


頑張っても成績が伸びない、上手くならないなどのときに、「なんでうまくいかないんだろう?」と考えることを、社会心理学では「原因帰属」と呼んでいて、重視されています。

重視される理由は、その原因を何と考えるかで、その後の感情やその後の出来事に対する期待、その後の実際の行動などに変化が起こるからです。

つまり、ここでの考え方の方向性によって、今後の行動を「自分が次に失敗しないようにするため(=成長するため)」のものにできるかどうかが決まるというわけです。


例えば、自分のテストの点数が伸びなかったことについて、原因を「自分の頭が悪い(生まれつき脳の能力が弱い)から」という結論にしてしまったとしましょう。

そうなるとその後のテストでも、「自分は頭が悪いから勉強なんてしてもムダだ」と考え、テスト勉強をしようという意欲は起きなくなってしまいます。

そのうえで「それでもやりなさい!」と親から言われるなど、どうしても勉強をし続けなければならない状況に晒されてしまうと抑うつ的な気分になることに繋がりますし、そのストレスがずっと続けば体にまで影響を及ぼすかも知れません。


しかしテストの点数を伸びなかった理由を「勉強量が足りなかったから」という考え方にできれば、なんとか時間を作れば自分はテストの点数を伸ばせると考えられるようになります。

また同じく「勉強のやり方が悪かった」と考えられれば、自分の勉強方法を見直し、いろいろ試してみることで自分にあった勉強方法を見つけることができて、点数は伸びるかもしれません。


上記のように、「うまくいかなかった理由をどう考えるか」はとても重要なのです。

そしてその方向性で大切なのが、「他人のせいにしない」「他のせいにしない」「自分のせいだと考える」ことです。


上記のような「原因帰属」の考え方については、教育心理学でよく知られているワイナーという方の分類・考え方が有名です。

この考え方の軸は3点あります。

・原因が自分の中にあるか、それとも外(自分以外の要因)にあるか(内的-外的)
・(同じように行動すれば)次も同じような結果が期待できるか、できないか(安定-不安定)
・自分でコントロールが可能か、不可能か(統制可能-統制不可能)

以上の3点の組み合わせによって、うまくいかなかった原因の方向性が変わる、という考え方です。

原因をどこに求めるようになるかは、下表の通りになります。
(下表がわかりにくければ、その下の文章から先にお読みください。)

 統制可能統制不可能
 安定不安定安定不安定
内的日常の努力一時的な努力・方法・策略能力気分や体調
外的教師の熱心さ他人からの助け課題の難しさ・先生の教え方

今回も、先ほどの「テストの勉強が伸びなかった」理由を例に考えてみたいと思います。

テストの点が悪かった原因に対して、

・自分にあり(内的条件)
・毎回同じように良い点数を取りたい(=結果に出したい)と思っていて(安定条件)
・自分でコントロールできる原因を探す方向(統制可能条件)

に思考が向かっていれば、「日ごろからの勉強(=日常の努力)が足りなかった」ことが原因と考える、ということが、表からわかります。


しかし同じ状況で原因を探しても、内的条件を

・自分にはない方向(外的)

で考えてしまうだけで、「先生の熱意が足りなかったのがいけなかったんだ! もっと一生懸命な先生ならテストの点数は伸びたのに!」と原因を考えるようになってしまいます。


次のテストで結果を出す可能性が高い人はどちらかは、確認するまでもありません。


その他の条件でも、うまくいかなかった要因を「外的」な方向(他人、他のこと)に考えを向かせてしまうと、

・ほかの人が助けてくれなかったから
・難しすぎて達成がそもそも不可能なことだったから
・運がなかったから

と考えてしまうようになり、自分で努力する方向へと思考は向かなくなってしまいます。


逆にうまくいかなかった要因を「内的」な方向(自分のせい)と考えれば、

・自分のやり方がうまくなかった、他の人にうまく協力を求められなかった
・自分の今の能力が及んでいなかった
・自分の気分や体調が優れなかった

といった思考になります。そのため、やり方や協力要請の方法の工夫、能力の向上、体調自体や体調管理の方法の改善など、今後自分が成長するために必要な、良い方向へと考えを向かわせることができるようになります。


今回の漫画の例でも、イチロクのメンバーは「あいつが負けたからバカにされてるんだ」という考え、つまり自分が納得できない立場にいることを椿(他人)に助力して貰えなかったことが原因(=外的条件)で考えていることがわかります。

しかし椿は、最終的には「自分も弱かった」と自分自身に原因を求めていることがわかります。

そしてその差が、「バカにされ続けているが改善の努力をうまく結果に繋げられていないイチロクのメンバー」と、「謝罪する余裕があり努力や行動を続けることができている椿」の差になっているとも考えられます。


以上を踏まえて、「他人のせい」「他のせい」にせずに、まわりで起こっていることは基本的に全て「自分のせい」と考えることを、ぜひ覚えて、試してみてください。

実際問題、本当に無理なことは、無理です。何でも思い通りになるということはありません。

しかし、もし目標が努力すれば達成できるものだった場合は別です。

この考え方を知っておくことで、自分の今後の行動が変わり、以前は無理だった目標を達成できたり、今後の自分やそのまわりをどんどん改善していくことができるようになります。

ぜひ、実践してみてくださいね!


以上、失敗や負けの原因を「自分のせいだ」と考えることの大切さについてのご紹介でした。


「囚人リク」が、大詰めの超面白いところまで来ました!

今までコツコツと努力し、準備してきた結果が実を結ぶかどうか、脱獄本番当日いよいよ、というところです!

超楽しみですよ!!

「今から読んでみようかな?」と思っている方は、単行本をじっくり追いかけるとちょうど解決編が最新刊で見れる感じになるかもしれません。

今までの積み重ねを見てからの方が、確実に面白さが増えると思います。

良ければ目を通してみてくださいね!



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

SNS