2014年7月18日金曜日

ニセコイ 第130話「シュザイ」 (「わ…私は…」 ウソをついているときに増える言葉と減る言葉、教えます!)

今回は週刊少年ジャンプ2014年33号掲載、ニセコイ 130話「シュザイ」を例に、人が嘘をつくときに増えたり減ったりする言葉の傾向についてご紹介したいと思います。


ウソをついているってわかりやすい人、いますよね。

焦りが出ているその態度だったり、急に早口になったり、逆にゆっくりとこっちをしっかり見ながら話したりなど、いろいろな傾向が人によって出やすい部分があると思います。

今回はそういった嘘をついているときに出やすい傾向の中でも、「言葉」についての傾向をご紹介したいと思います。

これを知ることで、「相手が嘘をついているかどうか」の判断基準をひとつ、増やせるかもしれませんよ!


(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)

まずは、ニセコイ 130話「シュザイ」のあらすじとご紹介から。


凡矢理高校新聞部が文化祭に向けて何か特集を組もうとしていて、その話し合いをしているシーンから、今回の話が始まります。

そしてその特集が、昨年の文化祭で大好評に終わった「ロミオとジュリエット」での主役の二人を取り上げる方向で話が決まります。

その主役を演じた二人とは、この漫画の主人公である一条楽(いちじょう らく)と、メインヒロインの一人である桐崎千棘(きりさき ちとげ)です。

そしてその取材を、この企画の発案者であり、また新聞部エースとして活躍している喜喜美々子(きき みみこ)が担当することになりました。

「校内新聞に載るなんて初めて!」とテンションの上がる千棘と、いつも通りの感じの楽。

しかし取材が始まった直後、喜喜から今回の取材は名目であり、「学校公認とも思われるほどカップルということが知れ渡っている二人が、実は本当はカップルではないのでは?」という真相を確認しにきたことを打ち明かされます。

今回の取材は、三度のおやつよりも恋の噂が大好きな喜喜による策略なのでした。

実際に楽と千棘は、とあるややこしい事情により恋人同士のフリをしなければならない間柄。

そしてそれをそのまま、喜喜に言い当てられるのでした。

言い当てられたことに焦りつつも、絶対にばれないようにするために楽と千棘はカップルであると芝居に打って出ますが、

事前の綿密な調査などで、どんどんと痛いところを突かれまくります。

散々ツッコミを受け、二人へのダメージが着々と重なっていくなか、教師が楽を呼び出している旨の校内放送が入ります。

それをきっかけに急用を思い出した楽は、その場に千棘を残し教師のもとへと急ぎます。

その場にひとり残された千棘は、喜喜から引き続きツッコミを受けるのかと焦りますが、

彼女は千棘に対しては質問を変え、ただただ率直に、「一条楽の事が好きなのか? 好きじゃないのか?」について尋ねます。

千棘は喜喜のじと目に圧されつつも、

自分の本心を彼女に打ち明けるのでした。



ここから、今回のブログのテーマに入ります。

注目したのは、楽と千棘が必死にごまかしたり、逆に最後に千棘が本心を伝えたりした際に使われた言葉遣いに関してです。

テキサス大学の言語研究者ペンベイカーらが行った実験の結果と併せて、それぞれのシーンの言葉遣いを改めてご紹介したいと思います。

順番にシーンを振り返りながら見ていただければと思います。
(面倒な方はセリフだけ抽出していますのでそちらを参考にしてください)


まず一番インパクトのあった千棘の「大好きです」のシーンから。

セリフは「わ…私は…あいつの事…」「す…好きです…大好き…!!」です。

嘘かどうかについて注目したいときは「とりあえず内容があっているか?」を吟味しがちですが、今回注目するポイントは「単語」です。

実は嘘のことを言っているとき、一人称単数形の代名詞(I、myなど)の使用回数が減ることが実験の結果でわかっているのです。

これは、嘘をつく罪悪から自分を切り離したいと感じるため、無意識に使わないようにしていると考えられています。

実際に自分が疑われていてしっかりと「本当だ」ということを伝えたいときをイメージすると、「僕は○○なんだよ」とか「私は××です、信じてください!」という言葉遣いが自然と出るのはなんとなくイメージができると思います。

ドラマや他の漫画の名シーンなどでも、疑われている状況を打開し説得するためのセリフ回しで使われているのが思いつくものも多いと思います。
(ちなみに僕が最初に思いついたのは「101回目のプロポーズ」の名シーンである「僕は死にましぇーん」です)

今回の漫画の例では、千棘が「私」をしっかりと使えていることからも、その言葉は十分に信用できるものだと予測できます。
(まあ、態度見るだけでも十分わかりますが w)


次に、ニセカップルの二人が最初に誤魔化そうとし、喜喜に対して千棘が

「私達の睦まじさが伝わらないなんて悲しいわねダーリン」

と言ったシーンについてです。

注目したい単語は「悲しい」です。

実は、嘘をついているときには否定的な感情を表す言葉(hate、worthlessなど。嫌い、憎い、価値が無いなどの意味)が増える傾向にあるのです。

これは、罪悪感の表れによって起こると考えられています。

もしくは、相手に疑ったことに対して罪悪感を感じさせるために、無意識に言葉を選び攻撃をしているのかもしれません。

相手に「嘘をついている」と疑われたときには、そのことについて「悲しい」「遺憾(残念だと思う)」などと言うのは常套句のようになっていると思います。

そう考えると、その常套句自体が統計的に実は怪しいという結果で出ているのは、意外なようで納得できることだと思います。

実際、本当のことを言っていて疑われたときに最初に感じる感情って、おそらく「なんで疑われているの?」という「疑問」の感情じゃないでしょうか。

そう考えると、すぐに「悲しい」感情が出るのは、なにか他の要素があるのでは? と考えてもよさそうですよね。


上記の2つ以外にも、実験の結果によると

・排他的な単語(but、exceptなど)が減少する
・動作を表す動詞(walk、goなど)が増える

といった傾向があるそうです。

この2つは、嘘によって複雑化しやすい内容を、少しでも単純化させるために起こりやすい、と考えられています。


また今回の話に関しては、何回も「私達」「オレ達」という言葉が出てきます。

これは特に証明実験の例があるわけではないのですが、二人で責任を分散しようとしている気持ちの表れだと考えられると思います。

今回は2人ですが、人は集団になることで

・無意識に作業の手を抜いてしまったり
・犯罪が目の前であっても他人に任せて見て見ぬふりをしてしまったり

など、責任の分散が起こることがよくあります。

(犯罪の目撃者たちによる責任分散の心理については、過去の記事『マギ 第207夜「カシムの墓」 (人が倒れていても、まわりが救助活動をしようとしないことがある??)』にてご紹介しています。良ければご覧ください!)


以上のことを踏まえると、言っていることから「嘘か真か」を判断するときには、話のつじつまが合っているかどうかと同じように、普段のしゃべり方よりも特定の種類の単語が増えているか減っているか、にも注目すると効果があることがわかって頂けると思います。


ちなみに少し話は逸れますが、こういった「嘘をついているときにどうすれば相手に本当のことを言わせられるか?」についても、今回はとても参考になります。

ポイントは、真実を話しやすい状況にもっていってあげることです。

もちろんそれ以外のコツもあると思いますが、相手が「言わないとダメな状況」に追い込むのではなく、「言いやすい状況」にしてあげることが大切なようです。

今回の話では、

・たまたま楽が校内放送で呼び出されて、千棘がひとりになったこと
・「付き合っているかどうか」ではなく、「自分が楽のことを好きかどうか」に質問が変わったこと

が、千棘が思わず本心を打ち明けてしまったことに繋がるいくつかのポイントのうちの2つになっていると思います。

相手が嘘をついていると感じたときには、どうしても責める姿勢を取ってしまいがちです。

相手を責めることだけが目的ならそれで良いのでしょうが、本当のことを言ってもらう目的が「今後の関係性をより良いものにするため」なら、その目的を思い出して、相手が自分から言いやすい状況を作ってあげられるようにしましょう!


・嘘かどうかを判断するときは、内容だけではなく単語の傾向に注意すること
・本当のことを言ってもらうためには、言い出しやすい「状況」を作ってあげること

機会があれば、試してみてくださいね!


以上、人が嘘をつくときに増えたり減ったりする言葉の傾向についてのご紹介でした。

一言で「嘘」といっても、その傾向や意味もあって「単なる発作的なものなのではなく、意外と深いんだなー」と、本を読んでいてよく思います。

「子供がつく嘘は実は意味があって、大切な過程である」こととか、本で読むまで全く知りませんでしたし。

また機会があればご紹介できればなーと思います。


そして話は突然今回の「ニセコイ」に戻りますが、「ウソが苦手な人」ってかわいいですね!!

よくよく考えてみると、この漫画はテーマに「ニセの恋」があるにも関わらず、登場人物には嘘が下手な人が多くて、しかもそれがキャラクターの魅力になっている、というのは面白く感じます。

そしてその分、嘘が得意な人や嘘を見抜くのが苦手な人の魅力が、相乗効果でさらに高まることに繋がっている気もします。

性格的にも魅力的な女の子がたくさん出てくるラブコメだと思います。

まだ読まれてない方は、ぜひ一度目を通してみてくださいね!



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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