2014年6月6日金曜日

HUNTER×HUNTER No.341「厄災」 (何回も繰り返して言われるとウソっぽく聞こえる!?)

今回は週刊少年ジャンプ2014年27号掲載、HUNTER×HUNTER No.341「厄災」のワンシーンを例に、何回も繰り返して言うと嘘っぽく聞こえる心理についてご紹介したいと思います。


嘘をついているのがばれる要因というのは、いくつかあると思います。

身振り手振りなどになんとなく焦りが出てしまったり、使う言葉が変わったり、急に優しくなったりなど、無意識のうちに人にはさまざまな特徴が出ることがあります。

今回はそのうちのひとつであり、かつ嘘をついていなくても嘘だと思われてしまうこともある、「同じ内容を繰り返して聞くこと」で嘘っぽく聞こえることについてご紹介したいと思います。


(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)

まずは、HUNTER×HUNTER No.341「厄災」のワンシーンとここまでのあらすじ紹介から。


「キメラ=アント」との戦いで命を落としたネテロに代わり、ハンター協会の新たな会長を決めるために行った「13代会長総選挙」に決着がついて間もなく、カキン帝国の国王が「暗黒大陸」への進出を宣言します。

暗黒大陸はV5(近代5大陸)によって不可侵条約が締結されている場所で、人類が進出しようとする度に、人類滅亡級の大きな厄災が降りかかったともされている場所です。

実際、V5が条約締結後に水面下で試みた「植民(ビジネス)化」の結果も、同じようなものでした。

そしてその植民化を試みた当時のV5 は、政治的な思惑からハンター協会を避け独自の調査団を秘密裏に作り上げており、その探検の行動決定権を担う専門家の一人が、亡くなったネテロの息子であるビヨンドだったことが、ネテロの遺言からわかります。

遺言は、こう続きます。

調査団が未踏ルートを探検の結果、多大な犠牲者を出し、新たな厄災を抱えて戻ってきたこと。
ビヨンドは再調査を望んだが、ネテロが死ぬまでは再調査の許可が降りないよう枷があったこと。
新世界の強さは、ネテロが求めた強さとは異質なものであること。

ビヨンドの望む強さが暗黒大陸探索には不可欠な要素であること。

それを踏まえたうえで、ビヨンドよりも先に暗黒大陸探検を成功させて欲しいとネテロが望んでいること。

しかしこの課題は間違いなく難しく困難なものであること。
リターンは大きいがそれをはるかに上回るリスクがあり、それによってハンター協会は窮地に立たされることが予測されること。
本当に難しいものであることから、これは指令ではないこと。

そしてネテロは「指令ではないこと」を繰り返しましたが、

ハンター協会の上層部である十二支ん(じゅうにしん)は、「これは指令であること」をしっかりと感じ取っていました。



ここから、今回のブログのテーマに入ります。

注目したポイントは、ネテロが繰り返し「指令ではない」と言っているにも関わらず、12支んたちには「指令だな」と聞こえたことです。


実は、当たり前のことを繰り返し言うとウソっぽく、胡散臭く聞こえるようになるということが、「欺瞞的コミュニケーション」という研究分野でわかっています。

普通に考えれば、繰り返しいうことで認識が深まると思いがちですよね?

そこで、「やりたいことばかりやって勉強をしなかったことで、親に怒られている高校生くらいの子供」の気持ちになってみてください。

その上で「勉強しなさい」ということに併せて何回も「お前のために言っているんだぞ!」と繰り返し言う親をイメージしてみてください。

何回も何回も言葉で重ねるのをイメージしていると、だんだん「本当は子供の成績が悪いのを、自分のプライドが許さないだけなんじゃないの?」など、「お前のために」と全然違う考えが浮かんでくるのが、なんとなく理解できると思います。
(もし上の例でイメージできなかったら、あなたのためを思って友人が同じアドバイスを何回も繰り返ししているところや、子供の養育費を貯めるために旦那のおこづかいを減らそうとしている奥さんなどで試してみてください。きっとわかると思います。)


今回引用させて頂いたネテロの遺言でも、先に「暗黒大陸はとても危険でかつリスクがあること」がネテロ自身から指摘されており、やって欲しいことではあるが指令として出すにはとても難しいことなのがわかります。

つまりこれを聞いている十二支んにとっても、「指令としては不適切なもの」というのが認識できている(=当たり前に思えている)状態なのです。

そこに当たり前と思っている「指令ではないこと」を連呼することで、十二支んは嘘っぽく感じるようになったと考えられます。


今回の漫画の例では「指令」という言葉の後に「!!!」が付くほどに強調されていることから意図的な部分を感じるため、そこが面白くもあると思うのですが、問題は日常での場面です。

実際の生活で子供や部下、後輩に対して「こいつ、わかってないな」と感じたときには、苛立ちも混ざり、頭ごなしに何回も繰り返し言ってしまいがちだと思います。

そしてそのたびに、言われた側は「ウソくさいなーこの人」と感じてしまうかも知れないのです。

それを考えると、とても怖い現象だというのがわかって頂けると思います。

何かを諭したり説いたりするときは、特に注意しましょう。


ちなみに繰り返し言うことにで、他にも同じような効果が表れる傾向があるようです。

例えば、会社や学校に遅刻した際に嘘をついて誤魔化そうとしたけれども、怒り心頭の上司や先生に圧されて理由を何回も言ってしまったりすることも、嘘だとバレやすいようです。

「風邪だと思います」「朝起きてから調子が悪くて」あたりで止まっておけば良いのですが、「電車に乗ったときも座れずにとても辛かった」「こうしている間にもかなりの頭痛が」「脈も速く感じます」「ああ、今とても熱っぽい」などと続くと、どんどん嘘っぽく聞こえてくるのがわかると思います。

こういったときは、情報量が少ない方が嘘だとバレにくいそうなので、あまり繰り返し言わず相手から何か聞かれるのを待つようにしましょう。


どちらのパターンでも、繰り返し何かを言ってしまいそうになったときは気を付けるようにしてみてくださいね!


以上、何回も繰り返して言うと嘘っぽく聞こえる心理についてのご紹介でした。

今回の記事を書いている際にふと思ったのですが、そういえば某有名なお笑いトリオの鉄板ネタ「絶対に押すなよ?」も、何回か言うことは決まり事ではありますが、もしかしたら「押すなよ?」を繰り返し言っているのはこういった心理が働いているのかも知れませんね。

だからこそ面白く感じてしまうっていう。個人的にあのやり取りは大好きなので、仲間内で機会があればよく同じようなことを(小規模なものですが)やっています(笑)


それはさておき、ついに「HUNTER×HUNTER」の連載が再開しました!

首を長くして待っていた方も多かったと思います。これからまたこの作品が読めるかと思うと、わくわくしますよね!

ちょうど区切りからですし、まだ未読の方はぜひ目を通してみてくださいね!

しかし、巻末の作者コメントでは「大分ガタが来てますが」とのこと。

とても心配ですが、富樫先生の体調面などに大きな問題が起こることなく、楽しんで「HUNTER×HUNTER」を読んでいけることを心から願っております。



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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