2014年5月1日木曜日

TOKYO WONDER BOYS No.9「両雄の視界」 (同時に2つのことには集中できない!? 「マルチタスク」を行うためのコツって?)

今回は週刊少年ジャンプ2014年22・23合併号掲載、TOKYO WONDER BOYS No.9「両雄の視界」を例に、同時に2つのことには集中できないことと、2つのことを同時に行うコツについてご紹介したいと思います。


何かをしながら、ほかの何かをしなければならないことが稀にあります。

料理で例えるなら、炒め物と煮物を同時に作ったり、手際が良い人であればその間に使った食器類など洗い物を済ませてしまう人もいると思います。

また、ストレスなどの要因でつらいことと同時に楽しいことをしたいときもあります。

勉強で例えるなら、テレビをつけてみたり音楽を聴いたりしながら、などです。


こういった2つ同時の作業をするのが苦手な人もいると思います。

どうすれば、2つ同時の作業ができるようになるのでしょうか?

またどういった点に注意をしないとダメなのでしょうか?

今回はそれを実際の心理学の実験とともにご紹介します。

(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)


まずは、TOKYO WONDER BOYS No.9「両雄の視界」のあらすじから。


この漫画の中心人物である樋本究児(ひのもと きゅうじ)と南條壱丸(なんじょう いちまる)は、高校生でありながら現在SA西ヶ丘という社会人サッカーチームに所属しています。

お互いそれぞれの思いを秘め奮闘しており、今回初めて、後半からではありますが公式の試合に出ることができました。

樋本には五輪代表の相手選手がディフェンスがマッチアップすることになり、そのため樋本はなかなか実力が出せない状況が続きます。

次にあらためてボールが樋本へ来たときには、さらにもう一人のディフェンダーに挟まれる結果となります。

そこで樋本は、誰もいないと思われる場所へパスを出しました。
相手選手もそれを見て「苦し紛れのパス」と判断しますが、その誰もいないと思われたその場所へ、なんと南條が走り込んでいました!

南條にディフェンスで付いていた選手がなんとか反則で止めたものの、きちんとマークに付いていたにも関わらず起きた現象に、南條をマークしていた人間は何が起きたのか理解できません。

そしてプレイが再開した直後、マークしている選手が理解できていないため、同じようなプレーが今度はしっかりと決まり、ゴールまで繋がりました。

2回目の経験をしたことで、南條をマークしていた選手、そしてまわりの人間も、その動きの秘密に気づきます。
DF(ディフェンダー)は「マークする相手」と「離れているボール」を同時に把握しなければなりませんが、人は2つの物を同時に見ることはできません

南條はDFの意識がボールに向いた瞬間を見逃さず、彼の死角となる背後のスペースへと瞬間的に飛び込んでいるのでした。

今まで確固たる攻めの形を作ることができなかったSA西ヶ丘にとって、これは大きな変化となります。
この攻めの形を作ったことで、今度は樋本のディフェンスが手薄になる形になり、今度は樋本のゴールへと繋がっていくのでした。



ここから、今回のブログのテーマに入ります。

注目したのは、南條の特徴である「2つのものを同時に見ることができないことを利用した走り込み」に関してです。


実際の生活の中でも、「人は2つのものを同時に見る(する)ことができない」 という例はいくらでもあります。

最近よく話題に出てくるものでいえば、「歩きスマホ」です。よく事故に繋がっているというニュースが流れていますが、あれもスマホと同時にまわりを見ることが出来ず、事故に繋がっていると考えられます。

また最近ニュースとしてはあまり聞かなくなりましたが、一時期は車の運転中にメールを打っていたり、通話していたりして大きな事故を起こしている話も十分にありました。

ふたつとも、どちらかに注意が向きどちらかに注意が向かなかった結果ですが、今回はまず『同時に2つのものを「見る」ことができない』ということがわかる、実際に行われた実験を2つご紹介します。


ひとつめの実験は、画面に文字を表示させて、実験参加者にそれを報告してもらう実験です。

まず画面の中心に、いくつかのアルファベットをひとつずつ、高速に表示させます。

表示されるアルファベットは基本的に黒文字で表示されますが、ひとつだけ白文字で表示されたアルファベットが混ざって表示されるようになっており、それが何であったかを実験者に報告してもらいます。

またそれと合わせ、白色のアルファベットの後に「X」が出てきたかどうかも報告をしてもらいます。

つまり、実験の参加者は表示される「白色の文字」と「Xという文字」という、2つのことについて注意を向けることになります。

この実験の結果は、白文字とXが表示されるまでの間の時間によって、認識の可否が分かれました。

白文字が表示された約0.3秒後でXが出現したときには、白文字は認識できてもXは認識できませんでした。

白文字が表示された約1秒後でXが出現した場合には、「白文字」「X」の2つとも正確に認識ができた、という結果なりました。

つまり、人は2つの作業をするときには、とても短い間隔での判断は完璧にこなすことはできないということになります。


上記の実験では「間隔」が問題になりますが、次の実験では「注意の向き具合」が問題になっています。


ふたつめは、実験参加者にビデオを見てもらう実験です。

ビデオには白いTシャツを着た3人のチームと黒いTシャツを着た3人のチームの合計6人が映っていて、その人たちが画面の中で目まぐるしくポジションを変えて動きながら、それぞれのチーム内でバスケットボールのパスを回している、という内容でした。

ビデオを見る際の注意点として、実験参加者にはビデオを見る前に「白いTシャツに注意する」ように指示を与えておきます。

実はこのビデオの中盤当たりには、突然真っ黒なゴリラの着ぐるみを着た人が登場し、画面左端から右端へ、2つのチームの間を悠然と歩いて去っていくシーンが入っています。

ビデオが見終わるとまず、参加者に「自分が数えたパスの回数」を紙に書くように指示しました。

その後、実験者が「パスを回していた6人のほかに、何か変わったできごとは起こっていなかったか」や「ゴリラが登場していたことに気付いたか」など、ゴリラに関する間接的、もしくは直接的な質問を行ったのですが、なんと実験参加者の半数以上がゴリラの存在には全く気付いていなかったという結果になったのです。

このことから、たとえ目に見えていても(視界に入っていても)、注意が向いていなければその存在には全く気付くことができないこともあるということがわかります。


以上の実験結果を踏まえて考えると、人は「同時(瞬時)に2つのことには集中できない」ので、集中できない以上注意しなければならないことに「全く気付くことができないことすらある」ということがわかって頂けると思います。

そう考えると、普段の生活で本に夢中で目的の駅についても気づかず乗り過ごすなどがあることには納得がいきます。


しかし一般的な考え方では、「さまざまな行動を同時にできる人間の方が優れている」と考えられているためか、同時にすることができないと「なんて自分は能力が低いんだ」と考えてしまうこともあるかもしれません。

そして実際に、2つのことを同時にしているように見える人がいることも確かです。

どう工夫すれば、自分も複数の作業を同時に進めることができるのでしょうか?


その方法に関しては、さまざまなやり方がいろんなところで紹介されています。

なので人によって合う合わないがあると思いますが、個人的にオススメをするのは「シンプルなリストをどこかに作っておくこと」です。

リストを作ること自体がこだわり出すと結構面倒な作業なので、本当にシンプルなもので良いと思いますが、要は実際に行う内容や作業を順番に整理しておくのです。

紙に書いておいても、頭の中に覚えておいても構いません。

そうすることで、たとえば2つ同時に何かをすることになったとき、片方の作業で空き時間ができた際に、

・いま手を付けていない方の作業の、どこに取り掛かればよいか
・元の作業に戻ってくる際に、次はどこからやれば良いか
・次の作業まで、どのくらいの空き時間ができるか

といったことが、しっかりとわかるようになります。

しかも実際に行っているのは1つずつの作業なので、焦ることもありません。

またリスト化のやり方に関しても、さまざまなまとめサイトがあると思います。

自分がよく行う作業に関してだけでもリストを作っておけば、やっているうちに効率的(同時)に作業を進めることができるようになると思います。

ぜひ一度試してみてくださいね!


以上、同時に2つのことには集中できないことと、2つのことを同時に行うコツについてのご紹介でした。

「TOKYO WONDER BOYS」の主人公たちが、ついに公式戦で、しかも力を合わせて活躍し始めました!

特に南條のスキルは個人的にはすごくわかりやすいものなので、コンビネーションが決まっているところをやっと見れて爽快な気分でした!

さあこれから!…っていうときはいつもジャンプだと不安になるんですけど、ぜひ頑張って頂きたいと思います!



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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