2014年5月24日土曜日

刃牙道(バキどう) 第14話「疑念」 (人の説得は、相手に考える「動機」や「能力」がなくても可能です!)

今回は週刊少年チャンピオン2014年25号掲載、刃牙道(バキどう) 第14話「疑念」を例に人の説得は相手に考える「動機」や「能力」がなくてもできてしまうことをご紹介したいと思います。


自分の部下や後輩、子供などに何か仕事や行動をして欲しいときなど、意外に「説得」が必要な機会は多いと思います。

しかしこの「説得」、なかなかうまく思うようにいかないものです。

自分のさせようとしていることが相手のためになることでも、なかなか言うことは聞いてもらえません。

説得を成功させるには、どういったことがポイントになるのでしょうか?

さまざまなコツがありますが、今回はそのいくつかのポイントと、相手に考える「動機」と「能力」がなくても説得できてしまう可能性があることをご紹介します。


(※※ ここからネタバレを含みます。ご注意ください ※※)

まずは、刃牙道(バキどう) 第14話「疑念」のあらすじから。


現在、地下闘技場トーナメントの主催者である徳川光成の主導のもと、東京スカイツリーの地下に存在する研究所にて、ジョン・ホナーという学者をトップにしたチームによって、宮本武蔵のクローン制作計画が行われています。

その結果、体は完璧に出来上がったものの、その体には意識がなく全く動き出さない状況でした。

そこで徳川光成の提案により、霊媒師である光成の姉に一度頼んでみてはどうか、ということになります。
(ここまでが先週までのことです。)

光成の姉は手元にある科学的なデータを見て、「完璧とは言えぬまでもまずまずの成果」と評価しました。

そして降霊は「この器なら ものの5分もあれば降りてくれる」と言います。

しかしそこで、クローン制作計画チームの科学者の一人である田中欣一がストップをかけました。

そして降霊という非科学的なものを受け入れることが科学の冒涜であるという考えから、プロジェクトから自分を外すか、霊媒師という科学と無関係な光成の姉を排除するかの選択を、チームのトップであるホナーに対して迫ります。

それを聞いた光成の姉は、すぐに降霊を開始しました。

やれやれと思いつつ、降霊後の光成の姉とのやり取りを続け、欣一は自分の祖父を彼女が降ろした(真似をしている)ようだと知りますが、科学者である欣一はもちろんそんなことを信じず、まともに取り合うことはしませんでした。

しかし彼女はそんなことを意に介さず、欣一の祖父の口癖を発言したり、欣一と祖父の二人しか知らないであろう秘密事を次々と発言していくのでした。
(以下は発言を抜粋したうえで流れの順になっています。2列で画像表示の方は左→右の順です。

欣一はその姿を見たうえ、彼女の姿にしっかりと祖父の姿が重なって見えたことで、「先入観を捨てよ!」という、彼女の(降霊が成功しているとすると祖父のものと考えられる)発言を受け入れ、「ものは…試し…ということで…」と、信じられないながらも彼は提案を受け入れる結果となります

そして別の場所では、範馬勇次郎が花山薫の呼び出しに応じ、二人は戦いに相応しい場所を探して歩いていくのでした。



ここから、今回のブログのテーマに入ります。

今回注目したのは、田中欣一という科学者が降霊という非科学的なことを行うことに一時は反対したものの、結局降霊を受け入れ説得されたことです。

もちろん、日常の説得にも降霊が必要だと言いたいわけではありません(笑)。

今回は説得に「使われた手段が降霊」というだけで、それ以外に注目するポイントがあります。


まず、「精緻化可能性モデル」という説得に関する心理学でのモデルをご紹介します。

「精緻化」というのは、(今回は説得に関する)メッセージの内容をしっかりと吟味することを指します。この「精緻化」がきちんとした説得には必要だ、という考え方です。

つまり、しっかり説得されるには相手がメッセージをしっかり吟味することが大切で、そのためには相手に吟味しようとする動機と、考えるための能力が必要だという考え方です。

難しい話に感じてしまうかもしれませんが、要は「自分で考えてみようと思い、しっかりと考えたうえで本人が理解すれば説得される」ということなので、そう考えればそこまで難しくはないと思います。


しかし、そうでなくても人は説得される場面があります。

よくCMやTVで通販のものや情報番組などがありますが、その際に権威ある専門家や教授などが登場して説明される内容に対して、「ああ、この人がこう言ってるんだったらそうなのかな?」と思い、その内容や商品を「じゃあ自分も試してみよう!」というかたちで説得されてしまうことがあると思います。

この例の場合、自分でしっかりと考える「動機」も「能力(専門的な知識)」も持たず、説得されてしまっている場合があることが、なんとなくわかって頂けると思います。

特に自分の詳しくない分野の内容でも、「あ、それなら試してみようかな」とふと思うときがそれにあたります。

こういったことは、人が説得を受けていて判断に迷った際に起こります。

人は説得を受け判断に迷ってしまったとき、先ほど紹介した精緻化モデルのパターンと、「専門家の意見だから」といった上記例や「説得側の自信満々な態度」といった、周辺にある少ない情報から直感的な判断をするパターン2つのパターンを行き来するように考えながら判断する、と考えられています。

つまり、「自分でしっかりと情報を集め考える」ことと、「専門家の意見を信じようかな!?」と考えることを、交互に考えて吟味しながら、どっちにするかを無意識に選んでいるということになります。

結果、「まあ専門家の言っていることだし、言っていることは間違いないだろう!」と思ったときには、特に自分が考える「動機」や「能力」がなくても、説得に応じてしまうのです。

この考え方は「ヒューリスティック・システマティックモデル」と呼ばれています。


ここで、今回の漫画の例に出てきた状況を整理してみましょう。

田中欣一に対して説得したい内容は、「先入観にとらわれることなく降霊という方法を試してみる(試させてみる)こと」です。

それに対して、欣一が科学者であることから「考える能力」は十分あると推測できるものの、彼自身が科学者であることに誇りを持っており降霊という非科学的なものを受け付けていないため、「考えようとする動機」が無いことがわかります。

そこで欣一の祖父という、欣一が信用している人物からの説得を行ったことで、彼は説得される結果となりました。

彼自身が考えてみようと思いしっかりと理解したわけではないにも関わらず、信用している人物から「一度試してみたらどうだ」と言われたことで、(周辺的な状況から)説得されたことがわかると思います。


相手を説得するためには考えてもらう機会と理解が必要と考えがちですが、周辺的なものからでも可能であることを覚えておいてみてください。

すると、自分が説得されている側のときには「ん? 今ふといいかなと思ったけど、もっとちゃんと考えてみた方が良いのでは?」と、流れだけに乗せさせられることなく一旦落ち着いて、情報を集めたり考えたりすることができると思います。

また、明らかにこうした方が良いとわかっているにも関わらず相手がそうしてくれないときには、自分からの説得だけではなく、「あの人にも協力してもらおう!」など、他の方法を使っての説得にも気が回せるようになると思います。

機会があれば、ぜひ試してみてくださいね!


以上、相手に考える「動機」や「能力」がなくても説得できてしまうことのご紹介でした。

ここまで理解したあとによくよく考えてみると、説得ってちょっと怖いことですよね。

全てを信用しないようにすると新しいものが入って来づらくなりますし、かといって全てを信用してしまうとあっさりと騙されてしまう可能性が高くなります。

このあたりは、しっかりと自分自身で考えてみることやリスク管理の方法を調べておくなど、その他の知識や工夫も併せてやっておきたいところです。

さまざまなサイトでいろいろな方法や知識が紹介されていますし、また心理学面でもいろいろなテクニックがあることがわかっていて、それがいろいろな本やサイトで紹介されています。

興味のある方は、ぜひ調べてみてくださいね!



ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)
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