2014年1月11日土曜日

HACHI 16話「一角獣の夢」 (人は自分の持っていないものに魅力を感じる?)

今回は、週刊少年ジャンプ2014年6・7合併号掲載、HACHI 16話「一角獣の夢」を例に、人は自分の持っていないものに魅力を感じやすいことについてご紹介したいと思います。


人は、さまざまなものに興味を持ちます。

自分の趣味や好きなもの、またそれに似ているものには興味を持ちやすいことはイメージしやすいと思いますが、逆に自分とは真逆と思えるものにも興味を持ちます。

漫画でよくありがちなものでいえば、例えばカッコイイ系の女の子が実はぬいぐるみなどのかわいいもの好きというものや、全然自分と違う異性にいつの間にか恋心を抱いていたりするものなどです。


この「自分にはない部分」と「自分と共通する部分」、実はそれに気付く順番によって印象が大きく変わってしまうのです。


※※ ここからネタばれを含みます。ご注意ください ※※


まずは、HACHI 16話「一角獣の夢」のあらすじから。

「HACHI」は、半神(ハーフ)という、半分人間半分人外のような存在に東京が奪われてしまった世界で話が進んでいきます。

主人公のハチは東京の一部、中野を取り戻す作戦実行中で、オトネという一角獣の半神と共に行動していたところで敵側の半神に見つかってしまい、逃走を図ろうとします。

うまく目の前の敵からは逃れたものの、その行く先には「アラクネ」というクモの半神が立ちふさがりました。

さらに逃げようとするハチとオトネですが、アラクネはすばしっこくて逃げることが叶いません。
仕方なくオトネは1日に1回しか使えない、一角獣の光速移動術を使い、なんとか建物に隠れて難を逃れることができました。

落ち着いたところで、ハチはオトネが一角獣の半神だということを初めて知ったことについて話します。

今までハチの目の前で変身しても良い場面があったものの、何故今まで変身しなかったのかというハチの問いに対して、オトネは「元の姿がイヤなんだよ」と、コンプレックスがあることを話しはじめます。

もともと一角獣としての能力を持っていたオトネにとって、半神よりも寿命が短いためか「葉っぱの色が変わること」や「夕陽の色に感動できること」など、小さなことで喜んだり泣いたりできる人間は憧れの存在になっていました。

もともと人間であるハチには、その気持ちが理解できません。
しかし、逆にハチは普通の人間の感覚として、「ユニコーンめちゃかっこよかったぞ?」とオトネに対して伝えます。
初めて自分の姿を肯定される言葉をもらい、照れるオトネ。

それにさらに追い打ちをかけるように、ハチは「オトネって、人間より人間っぺえとオイラは思うけどな!!」と言い、オトネはさらに照れます。

そんな中、イガのもとに「ハチの姉が捕えられた」という報告が入り、捕えられた姉は自爆をしてでも中野の奪還をしようとたくらみます。



ここから、今回のブログのテーマに入ります。

今回注目したい点は、ハチという「元は人間、途中でケロべロスの能力に目覚めた半神」と、オトネという「元は一角獣、途中で人間の姿になれるようになった半神」という二人の価値観についてです。

ハチは「一角獣はかっこいい」と思い、オトネは「人間って良いな」と感じました。
お互い、自分に持っていないものに惹かれたと考えられます。

これを心理学的には「異質性の発見」と言います。
自分にはない物を持っている相手、自分にはない価値観を持っている相手には、この異質性を発見することで憧れを抱きやすい、というのがわかっています。


ただし最近の傾向として、同じ価値観を持つ人を恋人に選ぶ傾向も見られます。

よく「フィーリングが合う」という表現が使われますが、そういったお互いの同じ部分や似た部分のことを「異質性」に対して「同質性」と言います。

恋人通しだけではなく何かの集団をグループ分けする際に、よく似た者同士で分けられることもあるので、イメージはしやすいと思います。


他人と比べてみると、同じ部分も違う部分もあるのがもちろん普通ですのでわざわざ同じか違うかを考える必要が無いようにも思われますが、この「異質性」「同質性」発見の順番の後先によって、実は人が感じるイメージががらっと変わるのです。


想像してみるとわかりやすいと思います。

「自分と同じだと思って惹かれた人が、実は自分と違う点をいくつも持っていた」というパターンと、
「自分とは違うと思って惹かれた人が、実は自分との共通点をいくつも持っていた」というパターンで比べてみてください。

前者の方は「自分と合うと思っていたけど、あまりフィーリングは合ってないのかも」と感じてしまいやすく、逆に後者は「自分とは違うと思っていたけど、意外とフィーリングも合うのかも」と感じられると思います。


つまり、順番としては「異質性」に惹かれたあと、「同質性」を見つけることの方が、比較的好感を得やすいというのがわかります。

今回の「HACHI」でも、お互いの異質性を認め話し合ったあと、オトネの人間らしさ(=ハチとの共通点)を指摘することで、オトネは嬉しさを感じてさらに照れる結果となったと想像することができると思います。

同質性から仲良くなった場合はあまり異質性を感じられないように気を遣うこと、また異質性から仲良くなった場合には同質性をお互いで探してみることが、うまく関係を続けていくコツとなるのかもしれません。


ただし、自分と違うことに関して興味を持つため気付きやすいのは上記の通りですが、その分良くも悪くも目が付きやすいというところがやっかいです。

例えば上司が団塊の世代で、部下がその子供の世代だった場合。
激しい学生運動などを経験している上司の世代からすれば、そういった経験のない部下はあまりにおとなしく感じられるかもしれません。

そのおとなしさに好意を持ってもらえれば、その先は「意外とこいつも熱い部分がある」など良いアピールをしやすいですが、第一印象でおとなしい部分が悪いイメージになってしまうと、「だからお前はダメなんだ」「熱い部分もあるがそれを活かせていない」など、悪い方向へとそのイメージが進むかも知れません。

第一印象には、こういう点も踏まえて気を付けましょう。


以上、人は自分に持っていないものに魅力を感じやすいことに関してでした。

今回の「HACHI」では、照れるオトネが個人的な見どころでした。

普段はぼんやりして何を考えているのかわからない感じですが、その分照れて焦る姿はなかなかかわいいと思います。

話の展開的に、中野のアポロン編もそろそろ決着がつきそうな感じです。
1巻も出ましたし注目ですよ!

(※ 掲載した画像は紹介作品からの引用で、著作権は作者および出版社にあります)

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